1610年の創業以来、建築を専業としてきた総合建設会社の竹中工務店は、ランドマークとなる数多くの建築物を手掛け、社会発展の一翼を担ってきました。設計と施工とを一貫して請け負うことこそが建築の本来の姿であるという信念を示す「工務」、お客様への奉仕を第一義とする「店」を組み合わせた「工務店」という名前には、お客様の想いを第一に考え、想いをかたちにすることに絶え間ない努力を重ねてきた確固たる意思が込められています。同社が目指すのは、今の時代はもちろん、次の時代も、その次の時代も「最良」と言われるような作品を生み出すこと。その代表的な作品には、国立劇場、東京タワー、有楽町マリオン、東京ドーム、東京ミッドタウン、新丸の内ビルディング、あべのハルカス、チャンギ国際空港ターミナルなどがあります。
同社では、建築事業において「デジタル変革により2030年に目指す姿」として、「お客様の課題解決と事業機会の供出」、「建築とそのプロセスでのサステナブルな価値提供」、「圧倒的なお客様満足を生み出す高品質・低コスト・高効率なものづくり」の3つを策定。その実現に向けて、「デジタル化による事業の変革」と「デジタル化による業務の効率化」の両輪でICT戦略を推進しています。こうした会社全体のデジタル変革の大きな流れを踏まえて、人事領域でも、人事システムの刷新に取り組む事になりました。
また、人事制度に関しても「働き方改革と生産性向上」「社員の年齢構成の変化」「デジタル化に伴う必要な知識技術の変化」の3つの背景を踏まえて、人事制度の全面改定をおこなう事になりました。
「人事システムの刷新は、ICT戦略に基づくデジタル化施策の一つであり、ホストコンピューターで稼働している人事・会計などの事務系基幹システムを、クラウドサービスを活用した新システムに刷新し、業務処理のリアルタイム化によるスピードの向上、ペーパーレス化、多角的なデータ活用を推進しようという取り組みのひとつです」と竹中工務店の串崎修氏は説明します。
実際、2000年代前半に導入した統合システムとホストコンピューターが併存していたことでデータが分散し、効率的な利活用が困難であったことに加え、依然として紙やExcelでの対応が残っており、デジタル化による業務の効率化は喫緊の課題だったと言えます。