日本の総合建設会社(スーパーゼネコン)である大林組は、同社の全社的なBPR活動を支えるSalesforceベースの新しいデジタル基盤BizXBase™の定着化に向けてWalkMeを導入。ユーザーがマニュアルやヘルプデスクに頼ることなく、やりたい業務をスムーズかつ確実に遂行できる環境を実現した。結果として、必要な情報が意図したとおりに正確に入力されるようになり、業務情報が1つの基盤に集約されることで、将来的なデータ利活用に向けた大きな一歩となっている。

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Salesforceベースの業務基盤を核に抜本的な業務プロセスの変革を推進

1892年の創業以来、「誠実なものづくりの姿勢」や「技術力」という先人たちから継承してきた DNAを根幹に、東京中央停車場(現:東京駅)、関西国際空港、東京湾アクアライン、東京スカイツリー®など、時代を象徴する数々のプロジェクトに携わってきた株式会社大林組。2021年1月には『MAKE BEYOND つくるを拓く』を「既存の事業の枠にとらわれない成長をめざす」新たなブランドビジョンとして策定。変化の激しいビジネス環境において多様化する建物や施設に求められるニーズにグループ全体の価値を提供し、安全・安心でサステナブル(持続的)な社会の実現に邁進している。

 

そんな同社が2022年3月に発表した「大林グループ中期経営計画2022」では、建設事業の基盤の強化と深化に向けた重要な取り組みの一つに、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングによる抜本的な業務プロセスの変革(BPR活動)が掲げられている。従来の建設事業の習慣や常識にとらわれず、デジタル技術を活用して抜本的に業務プロセスを見直そうというこのBPR活動を中心で支えるのが、Salesforceをベースに同社が独自に構築した「BizXBase™(ビズエックスベース)」と呼ばれる業務基盤だ。BizXBase™は、さまざまな業務情報をクラウド上で一元管理するデジタル業務基盤であり、同社が展開する建設事業、土木事業、さらには開発事業を含む全社的な業務利用に向けて現在も構築を進めている。

株式会社大林組 DX本部 BPR部 室井達哉氏
株式会社大林組 DX本部 BPR部 吉田康伸氏 
 

「デジタル業務基盤を用意して、全従業員がそこに向かってスムーズに仕事をしていくために何をすべきかと考えたとき、はじめはユーザーにマニュアルを提供するという安易な方法しか浮かびませんでした。実際、IT部門としてこれまでも、見てくれるユーザーがどれだけいるのかもわからないのに、100ページ以上ものマニュアルを当たり前に作成してきました」と室井氏は振り返る。

システムを運用に乗せ定着化を図るための選択肢として、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の存在を知り、WalkMeに出会った室井氏は、「ユーザーにとって、システムの使い方を覚えるのは本来の仕事ではありません。システムを導入して業務に集中できる環境を用意したはずなのに、システムを覚える仕事を増やしてしまっては意味がないですし、マニュアルがなくても使えるのが一番だと改めて気づかされました」と語る。

やりたいことを選択するだけで誰もが使いこなせるシステムへ

「WalkMeはDAPテクノロジーのパイオニアです。当社で使用していたブラウザに対応していたこともあり、WalkMeを選択しました。当社のシステムを熟知した上で導入までの道のりを手厚くサポートしてくださったこともあり、前のめりでWalkMeの導入を進めていきました。」(室井氏)

こうして、新たな業務基盤であるBizXBase™を誰もが使いこなせることを目的として、WalkMeの導入に踏み切った同社は、単に操作方法をガイドするのではなく、ユーザーに業務プロセス自体を把握してもらうことを主眼に置き、プロセス改革を実行。営業部門向けにトレーニングを実施した際には、はじめにWalkMeがない状態で、1つの目的を果たすためにどれだけ複雑な工程を踏まなければいけないかを説明。WalkMeのガイダンス機能を活用することでいかに簡素化、省力化されるかを体感してもらうという方法を取った。

「営業マンが行うべき川上から川下までの作業がすべてWalkMeで表示されるメニューの中に準備されているので、やりたいことを選択するだけで、マニュアルを見たり、業務フローを確認したりしなくても業務を遂行できることを説明しました。これにより、やりたいことを画面上で探せないなんてこともありませんし、本来やりたかったことと違う操作をしてしまう心配もなくなります。一つひとつSalesforceの動きを説明していくとなると、180分あっても全然足りないのですが、WalkMeを効果的に使うことでトレーニングの時間短縮にもつながりました」と吉田氏は説明する。

大幅な効率化を達成しながらデータの入力精度を向上

同社にとって、WalkMeを導入した手応えは大きい。「ユーザーがマニュアルを読まなくても操作できるので、マニュアルを探す手間も、ユーザーサポートにかかる人件費も減ります。正確な数値での試算はなかなか難しいですが、確実に業務量が減り、時短につながっているという実感があります」と語る吉田氏は、単なる効率化にとどまらない効果にも期待を寄せている。

 

「ユーザーが入力すべき項目にもフキダシでコメントが表示されるので、文字さえ読めれば誰でも入力ができます。入力されるデータそのものも、こちらが意図したものが入力されるようになり、データの正確性が高まりつつあります。デジタル業務基盤上に集まってくる業務情報の再利用(データの利活用)という観点で、非常に望ましいことだと言えます。」(吉田氏)

 

費用対効果の分析は、WalkMeのインサイト機能を使って進めていく予定だが、室井氏は、「800~900に及ぶスマートウォークスルーや自動化の設定をたった2人で行っているというだけでも、コストパフォーマンスの高さは明らかだと思います。しかも、ヘルプデスクを用意することなく運用できています」と、WalkMeの効果を確信している。ユーザーにとってより使いやすい環境を目指してトライアンドエラーを繰り返し、その都度外部に発注することなく速やかに改善していけるのも、WalkMeの強みである。

データの利活用を促しデジタルの力を最大化

建築事業および土木事業向けにWalkMeの実装が完了した同社は、今後は開発事業の領域に向けて活用を拡大していく計画だという。目指すはマニュアルレスの世界だが、将来的には、「WalkMeを入口にしてデジタル業務基盤上にあらゆるデータが集約されることで、縦割りだった建築事業と土木事業、開発事業の接点を見出し、部門間をまたいだデータの利活用が促進されるきっかけになるのではないかと期待しています。WalkMeなら、画面を開いた瞬間に自動的にアナウンスを表示することも可能ですから、業務に有用な情報を提案するといった使い方もできそうです」と室井氏は展望する。

 

「当社の業務プロセス改革を支えるBizXBase™をより効果的に運用していくためのヒントは、WalkMeの中にあるのかもしれませんね」と室井氏が語るとおり、同社はWalkMeに、単なるユーザー操作の補助ツールを越えた重要な役割を見出している。

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株式会社大林組について

1892年創業の総合建設会社(スーパーゼネコン)。国内建設事業を中核として、海外建設事業、エンジニアリング事業、開発事業、グリーンエネルギー事業、新領域ビジネスの分野において、グローバルに多様な事業を展開している。

URL:https://www.obayashi.co.jp/
設立:1936年
資本金:577.52億円
代表者:代表取締役 社長 兼 CEO  
    蓮輪賢治
本社:東京都港区港南2丁目15番2号
従業員数:9,253人(2024年3月末現在)