Author: WalkMe Team

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  新しいソフトウェアを導入する際には、従業員にそのソフトウェアを使い始めてもらうことはもちろん、継続的に活用して定着化させることが重要です。DXにおいてツールの活用は避けて通れませんが、企業が活用するSaaSツールが増える一方、その活用度は平均で全体の40%と、以前として定着化は多くの企業課題となっています。 本記事では、オンボーディングの重要性やそのメリット、効果的なオンボーディングのためのベストプラクティス、避けるべきポイントなどを解説します。 オンボーディングとは オンボーディングとは元々「新人研修」という意味で使われ、新入社員がスムーズに組織や部署のルールを理解し、仕事に慣れてもらうための人材育成プログラムを指します。この新入社員のオンボーディングを意味する言葉が派生して、企業がシステムやソフトウェアを導入する際に、新しい従業員やユーザーを教育し、スムーズに適応させるプロセスという意味でも「オンボーディング」という言葉を使うようになりました。 主に導入初期の段階に焦点を当て、単に新しいユーザーを追加することだけではなく、早期に慣れてパフォーマンスを発揮できるようにすることが目的です。以下のようなアクションが含まれます。 新しい組織のルールやシステム、ソフトウェアの基本的な使い方を教える 会社のポリシーや業務フローを理解させる 新しいユーザーが迅速に業務に取り組めるようサポートを提供する   オンボーディングはユーザーがシステム、ソフトウェアに抱く第一印象 オンボーディングはユーザーとシステム、ソフトウェアとの最初の接点であり、その最初の印象は非常に重要です。もし導入時に適切なサポートがなく新しいシステムに対して嫌悪感を抱いてしまったら、興味や使用意欲は低下してしまい、結果的に企業にコストをかけることになります。オンボーディングについては、以下のようなデータも出ています。 36%の人事担当者が、オンボーディングプログラムを自動化・組織化できない原因としてテクノロジーの欠如を挙げている(Businesswire, 2018) 構造化されたオンボーディングプログラムに参加した従業員は、3年間会社に残る可能性が69%高まる(ClickBoarding, 2020) オンボーディングトレーニングを実施している企業は、従業員を50%の確率で維持できると推定されている(Harvard Business Review, 2018) 悪いオンボーディングを経験した従業員の約10%が離職している(Business News Daily, 2020) つまり、継続的な活用と定着化のためにはオンボーディングでまず好印象を与えることが必要不可欠なのです。   良いオンボーディングのメリット 良いオンボーディング体験は、単に従業員の満足度を向上させるだけではなく、その成功は組織全体に大きな影響が期待できます。代表的なものとして以下が挙げられます。 生産性の向上 定着率の向上 エンゲージメント向上 トレーニングの効率化 従業員満足度の向上、早期離職の減少 エラーやミスの減少   よくあるオンボーディングの落とし穴 オンボーディングにはこれらの多くのメリットがありますが、計画段階でミスをしてしまうと逆効果となってしまいます。オンボーディングプロセスを計画する際に避けるべき、代表的なミスは以下の通りです。 サポートの受け方がわかりにくい、または欠如している新しいシステムやソフトウェアの導入時には、ユーザーはたくさんの疑問を抱えます。これらの疑問や課題を迅速に解決できるよう、ユーザーが容易にサポートを受けられる環境を整えることが重要です。 測定や分析をしていないオンボーディングの中でユーザーがつまづくのはよくあることですが、ポイントはどこでつまづいているのかを分析し、それを修正、改善することです。ユーザーの痛みを理解せずに改善はできません。 オンボーディングの先にアダプションがあることを理解していないオンボーディングは、単なるウェルカムメールやバーチャルツアーで終わるものではありません。オンボーディングとセットで議論されるのがアダプションです。アダプションとオンボーディングは、どちらも新しいシステムやプロセスに関わる概念ですが、目的や範囲が異なります。アダプションは、新しいシステムやソフトウェアがユーザーによって実際に採用され、日常的に使われるようになること、つまり定着化を指します。オンボーディングが導入初期に焦点を当てているのに対し、アダプションは長期的な使用と定着を目指すのです。以下のようなアクションが含まれます。 新しいツールや業務プロセスが日常業務の中で継続的に使われるようになること ユーザーがそのツールを効率的かつ効果的に活用できる状態を指す ソフトウェアやシステムが企業全体で定着し、最大限に利用されるようにするこれらからも分かるように、オンボーディングとアダプションという概念においては2つの大きな違いがあります。一つはタイミングで、オンボーディングは初期の導入段階に重点を置く一方でアダプションはその後の長期的な利用促進に焦点を当てます。二つ目は目的で、オンボーディングは新しいシステムやソフトウェアに慣れることを支援するプロセスである一方、アダプションはそれらが日常的に活用され、その効果を最大限発揮するためのプロセスです。この記事ではオンボーディングのポイントを主にご紹介しますが、真の成功のためにはオンボーディングとアダプションはセットで考える必要があるのです。   ソフトウェアのオンボーディングのベストプラクティス ユーザージャーニーを設計するユーザーがどのようにシステムやソフトウェアを使い始め、活用していくか(ユーザージャーニー)を設計します。ユーザーのニーズや目標に基づいて設計し、具体的なステップやガイドラインを提供することで利用促進を実現します。 プロダクトツアーを提供するユーザーが初めてソフトウェアに触れる際にはわかりやすいプロダクトツアーを提供しましょう。具体的な機能や設定をステップバイステップで案内することで、ユーザーがシステムに慣れる手助けをします。重要な機能や使い方を明確に説明します。 ガイドを提示するポップアップやクリック可能なガイドなどを提供することで、ユーザーがスムーズに進めるようにサポートを強化します。 ユーザーがつまづく点を分析し、調整するユーザージャーニーのどこでつまずいているのかを分析し、必要な改善を迅速に行います。 モバイル対応を最適化するモバイルデバイスでの利用が一般的になっている今、モバイル最適化は必須です。これを怠ると、ユーザーを失う可能性があります。 従業員のフィードバックを集めるフィードバックは非常に貴重な情報源です。これらをプロセスに組み込み、効果的に活用しましょう。   まとめ この記事では良いオンボーディングのメリットや、避けるべきミス、そしてベストプラクティスを紹介しました。ぜひこれらをヒントにオンボーディング、そしてその先のアダプションの計画を練っていただければ幸いです。また、WalkMeが提供するデジタルアダプションプラットフォームは導入初期のオンボーディングのみならず、定着化までをトータルでご支援しています。ご興味のある方はぜひこちらからお問い合わせください。 ...

by WalkMe Team, September 25, 2024

先日SAP社も自社の生成AIアシスタントを発表し、生成AIを含むAIツールのトレンドはますます活気を帯びています。2024年はさらに生成AIは今後社内のDXになくてはならいものになるでしょう。 一方このような生成AIなどのAI関連ツールを正しく利用するためには、そのツールを正しく利用するためのオンボーディングの要素も非常に重要です。と言うのも、生成AIと正しい付き合い方をしなければ、期待した回答を得られないケースがあるためです。所謂、プロンプトエンジアリングがそれでしょう。 ただ、WalkMeのデジタルアダプションを導入していれば、オンボーディングと言う概念はそもそも不要になり、プロンプトエンジニアリングの”習得”すらもショートカットされることが目に見えています。 生成AIから期待した回答を得るための正しい質問の投げ方 こちらはWalkMeが社内で利用しているChatGPTのインターフェースです。何の変哲も無い、通常のChatGPTのプロンプトの窓があるだけです。 例えば、自分が営業担当だとして新規のお客様訪問を想定しているシチュエーションを考えてみます。生成AIに「新規のお客様訪問時に必要となるアジェンダを作成する」よう、依頼してみます。以下は実際のGPTへの問い合わせ画面です。 <ChatGPTへのシンプルなプロンプト> さて、これで十分だと思われる方もおられるかもしれませんが、もう一段深掘りして考えてみましょう。 ChatGPTのプロンプトエンジニアリングを行う上で大事な要素は下記だとPrompt Engineering Guideでは提言しています。 Instruction(指示) – 生成AIに実施して欲しいタスクや指示 Context(文脈) – よりよいレスポンスを得るための外部情報や付加情報 Input Data(入力) – 回答をして欲しい質問内容 Output Indicator(出力形式) – 回答の出力形式※参考:https://www.promptingguide.ai/jp/introduction/elements 先の、プロンプトはこのような要素を正しくChatGPTに伝えていましたでしょうか? WalkMeを活用したプロンプトエンジニアリングの妙 では、下記の画面イメージを見てください。先ほどの画面とは大きく変わっているのがわかるかと思います。 <WalkMeが乗った状態のChatGPT> 上部には、注意事項が表示され、プロンプトの入力フィールドの横には”テンプレート挿入”と言うボタンが追加されています。左側には”ENABLEBOT”と書かれたアイコン。そして、左上には、”あなたの職種”や”想定ペルソナ”と言った文字が入ったBoxが表示されています。 これら全てがWalkMeで表示しているDAP(デジタルアダプションプラットフォーム)のコンテンツ群です。例えば、左上のBox内の、”期待する役割を設定”をクリックしてみます。入力ボックスが現れるので、”私の上司”を指定してみます。 また同様に”想定ペルソナ”を設定します。Box内に選択した値が反映されています。 <WalkMeのコンテンツを使って値をプリセット> この状態で、”ENABLMEBOT”ボタンを押しWalkMeのガイダンスに従って、必要な操作をしていきます。この時点で、ユーザーはプロンプトフィールドへの入力は必要なく、必要な選択肢を選ぶと、定型的なプロンプトが自動的に入力されます。 <WalkMeコンテンツとして作成したガイダンスを起動し指示に従う> <WalkMeコンテンツとして作成したガイダンスを起動し指示に従う> <プロンプトが具体化しChatGPTから追加の情報を要求されるようになる> つまり、こうすることで、プロンプトとして適切な要素を踏まえた上で、属人的になりがちな表現の揺らぎや曖昧なプロンプトをするリスクが格段に減ることとなります。 結果として、生成AIからは安易な回答はされず、さらに必要な情報を得るような対話になっていることがわかるかと思います。 さいごに SAP製品にも組み込まれる生成AI。これを有効活用していくことが、社内のDXがさらに加速し、SAP製品の導入またはその他のアプリケーションの導入の効果を最大化し、皆様の企業価値を強化することは疑いようがありません。 つまりは生成AIを正しく、素早く、適切にお使いいただくことがMustになる時代がすでにやってきています。SAP製品導入の際はAI x WalkMeを念頭に、生成AIを活用した一歩先のSAP製品の導入効果を御検討してはいかがでしょうか。 参考動画 生成AI正しく使えていますか? その1 https://player.vimeo.com/video/888608005?badge=0&autopause=0&player_id=0&app_id=58479 生成AI正しく使えていますか? その2 https://player.vimeo.com/video/888608059?badge=0&autopause=0&player_id=0&app_id=58479 ...

by WalkMe Team, January 25, 2024

ChatGPTにはじまる生成AIの波 国内外問わず、ChatGPTを中心に生成AIの波が止まりません。これらは、パブリッククラウドとして提供され、無料で使うことができ、個人においても利用のハードルが非常に低くなっています。 生成AI利用のリスクを考える WalkMeのお客様と会話していても、どのお客様でも生成AIが社内のキーワードとなり、活用方法や、利用方法の議論がなされていると伺います。筆者も御多分に洩れず、ChatGPTを活用して、さまざまな場面で活用し生産性の向上に役立てています。特に、文章を英語から日本語へ、日本語から英語への翻訳に役立てたり、また、筆者自身は開発者ではないため、たまにしか行わないプログラミングにおいても、プログラムコードを簡単に生成してくれるのも非常に助けとなっています(もちろんコード生成後のテストは行いますが(汗))。 <シャドーAIとは?>WalkMeでは生成AIに限らず、Webサービスとして提供されているAIツールのうち、企業側が把握していない従業員が利用する(利用してしまっている)AIツールをシャドーAIと定義しています。 ニュースなどでも話題になりますが、生成AI、AIサービスの利用のセキュリティ観点でのリスクはどんなものがあるでしょうか?せっかくなので、ChatGPTに聞いてみると、こんな回答が返ってきます。 以下はWalkMeワークステーションに統合されたChatGPTを利用した回答例です。 <ChatGPTの回答>AIのセキュリティリスクには、以下のようなものがあります。– 生成AIは人工的に作り出されたものであり、その背後には人間の偏見や差別などの意図がある可能性があるため、不公平な結果が生じるリスクがある。– 生成AIが多数のデータを学習することによって、そのデータを含む個人情報が漏洩するリスクがある。– 攻撃者が生成AIを悪用して、偽の情報やフェイクニュースを作り出すことができるため、社会的な混乱を引き起こすリスクがある。– 生成AIが誤った情報を生成することによって、企業や個人の評判を損ねるリスクがある。– 生成AIが人間の言語や行動を模倣することができるため、フィッシング攻撃や詐欺行為などのセキュリティ上のリスクがある。 以上が、ChatGPTが回答した、生成AIのセキュリティリスクの例です(質問の仕方により回答内容は変わってきます)。この中でも、”情報漏洩”は特に企業利用としては、非常に気になるリスクではないでしょうか。もちろん、利用企業はこれらのリスクを把握し、それらに対処するための適切な対策を講じる必要があります。 その生成AI、シャドーAIになってませんか? 当然リスクを最小限に抑えるため、生成AIの利用をルールとして禁止する、または企業によっては生成AIへのアクセスを遮断する、などの対策を取られるケースはあると思います。それらを、ルールとして利用禁止したとして、”従業員が本当に使っていない”と言い切れるでしょうか? その生成AI、実はシャドーAIになっていませんか? では、このようなシャドーAIの従業員の利用状況を皆様はどのように見つけ、把握しますか?膨大なネットワークログを収集し、検索や集計をかけて把握しますか?AIツールに限らず、アクセスログやネットワークログから、誰がいつ使っていて、どのくらいの頻度利用しているのかを、正しく理解することは簡単にできますでしょうか。仮になんとかできたとしても、そこから先のアクションに繋げることはできますでしょうか? シャドーAIを検出可能なWalkMeのデジタルアダプション WalkMeのデジタルアダプションでは、ユーザーの行動データを元にしたデータドリブンのアプローチを行い、分析結果を元にシステム導入者側の意図を載せた上で、エンドユーザーが望んているタイミングと場面でユーザーに寄り添うようなコンテンツを作成・提供することができます。 エンドユーザーが利用した後は、さらに分析し、改善をしたコンテンツを作成し・・・と言うように、PDCAサイクルを回すことができる唯一のデジタルアダプションプラットフォームがWalkMeです。 WalkMeのデジタルアダプションプラットフォームとしてのフレームワーク さらに、WalkMeでは、ユーザーの行動データの観点で、Discovery(ディスカバリー)と言う、”Webアプリケーションの利用状況検出・集計機能”をリリースしております。 Discoveryでは、ユーザーがどのWebアプリケーションを、どのくらい(滞在時間)、どの程度(利用頻度)利用しているかを収集し、収集したデータをダッシュボードとしてIT部門やCIOが見やすい形で可視化し提供されます。さらに、部門情報を入れることで、どの部門でどのくらいどの程度、と言う観点でも把握することができます。 ここで、シャドーAIです。Disoveryの機能には、シャドーAIを検出する機能を設けております。CIOやIT部門は、企業側が想定していない・許可していないAIツールを従業員が利用しているかどうかが、データとして可視化され確認することができます。多種多様なネットワークのログを集計し、面倒な計算をする必要はありません。 Webアプリケーションの利用状況を可視化するDiscovery(ディスカバリ) シャドーAIを見つけ、社員がどのようにAIツールを利用しているかを把握 シャドーAIを検出して終わりではない。AI利用促進は企業の成長に欠かせない重要なピース。 では、シャドーAIを検出することができました。利用禁止のAIの通信を遮断しました。果たしてそれで終わって良いでしょうか?AIの活用・生成AIの活用は企業の成長には必要となっていますが、セキュリティの懸念から、オープンなChatGPTの利用は禁止し、会社専用のChatGPTテナント生成AIテナント(例えばAzure Open AI serviceなど)を利用するケースも増えています。 つまり、セキュリティの懸念を排除した上で生成AIを活用することは、競争に打ち勝ち、自社を成長・発展させるためには絶対必要な条件と言えるのです。 そこで、再度WalkMeのデジタルアダプションです。WalkMeのデジタルアダプションは、企業のWebアプリケーションの利活用を促進し最大の効果を発揮させ、企業の売り上げや成長を後押しする価値あるソリューションです。 AIツールのコンプライアンス徹底及び利用率向上のためのWalkMeユースケース 具体例でお話ししましょう。オープンのChatGPTにアクセスしたユーザーにアラートを出し利用ルールを案内し、自社のセキュアな生成AIツールにユーザーを誘導するケースを想定してみてください。 https://player.vimeo.com/video/866997460?dnt=1&app_id=122963 わかりやすい注意メッセージを示すことで、未然に情報漏洩の危険を啓蒙し、且つ、正しいサイトへの誘導で従業員も安心して利用することができます。 次の例では、生成AIツールの利用が十分ではない、または、自社管理下の生成AIツールを認知していないユーザーへの利活用促進の例です。 WalkMeワークステーションの通知機能を利用し、プロアクティブにデスクトップ通知を表示することで、自社管理下の生成AIツールの認知度と利用向上を期待できます。 Video Player さいごに 本ブログでは、セキュリティのリスクとなりうるシャドーAIの利用をWalkMeの機能を利用して把握し、WalkMeのコンテンツを利用することで、本来利用すべきAIツールの利用促進を加速し企業成長に繋げることができることを、ユースケースを交えてご説明しました。 WalkMeを利用することで、クラウド/パブリッククラウドの観点では、AIに限らず、あらゆるWebアプリケーションの、利用状況の可視化、ユーザーの利用促進、ユーザー満足度向上に繋げていくことが可能となります。 ...

by WalkMe Team, September 22, 2023

『7つの習慣: The 7 Habits of Highly Effective People(英語)』は、30年前に刊行されてから、時代を越えて、今でも人気を博しています。私も長年愛読しており、仕事とプライベートに役立つたくさんのヒントを得ています。 そこで、7つの原則から成るこのフレームワークをデジタルアダプションのプログラム(英語)に当てはめてみることにしました。 デジタルトランスフォーメーションのジャーニーに必要な7つの習慣を紹介していきます。 自社にとっての「高い効果(Highly Effective)」を定義する まず考えるべきなのは、「効率的(Efficiency)」と「効果的(Effective)」の違いです。この2つは関係していますが、まったく同じ意味ではないことを、私も(ようやく最近になって)認識するようになりました。 効率的とはインプットを重視した考え方で、コストの抑制や無駄の排除などを指します。一方、効果的とは、価値や結果などのアウトプットを重視した考え方です。正味価値は最終的にコストを考慮するので、高い効果を実現するために効率的なプロセスが必要なのです。ただし、これは一般的な定義に過ぎません。ここでは、この2つの言葉(特に「効果的」)を理解し、自社にとってどのような定義が最適かを考えます。 先日、ブレネー・ブラウンの『Dare to Lead(英語)』を読みました。本書には、価値について述べた後に、自分にとって最も重要な価値を定義するというエクササイズがありました。「自分の価値観に沿って生きる/誠実に生きる」というテーマを議論しますが、その背景となる情報が十分でないと、この議論は意味を成しません。 つまり、年次の全体会議で「効果の高いデジタルアダプションプログラムを実現する」と繰り返すだけは、皆の賛同を得てプロジェクトを進められたとしても、結果的に何も得られないということです。 取り組むべきこと:まず、経営陣の関係者と話し合います。経営陣にとって何が「効果的」なのかを定義します。あるデジタルアダプションプログラムが「X社で高い効果があった」という事例があれば、その内容を検証します。経営陣が「ROIの最大化」を重視するならば、さらに詳しく話を掘り下げます。ROIの最大化はアウトプットであり、遅行指標でもあります。プログラムが順調に進んでいるかどうかを示す先行指標は何かを検討しましょう。 「汝自身を知れ」 - 自己認識を確立する 自社を理解するのは簡単なことではありません。自社の企業文化を理解しようと人事部門が従業員調査を実施するのと同じぐらい難しいものです。広範囲にアイデアや経験を伝えられる、部門横断的な従業員はなかなか見つけ出せるものではありません。しかし、デジタルアダプションプログラムを成功させたいのであれば、調査に基づいた分析的アプローチで、ビジネスの原動力が何かを明らかにする必要があります。 取り組むべきこと:デジタルアダプションジャーニーのどの段階であるかにかかわらず、一般的なSWOT(強み、弱み、機会、脅威)を用いて、自社を分析します。さまざまな関係者と何度か会議を開催します。 組織・部門を横断したCoE(Center of Excellence)チームと、デジタルアダプションの現状を中心にレビューします。役員などの関係者を集め、会社の広範なエコシステムや、デジタル以外のものも含めた部門横断的な取り組みについて話し合います。 社内のさまざまなグループに影響を与えた、直近の大きな取り組みは何ですか。それに関与した人はだれですか。組織内で、ソフトウェアの購入にかかわる意思決定がどのように行われていますか。 あるデジタルアダプションプログラムのマネージャーがSWOT分析で行った質問を紹介します。「自社には、あらゆる従業員が指示に従うような、(黙示的なものも含めた)部門横断的なリーダーシップを発揮する部門はありますか。それを証明する事例を教えてください」この質問は、デジタルアダプションについて明示的に尋ねているものではありません。しかし、権限を持つ部門の有無とその影響力について、有益な情報を引き出せます。デジタルアダプションの普及活動を強化するうえで、関係を改善すべき敵対者を明らかにできるという点でも有効です。次は、3つ目の習慣です。 「スーパーチャンピオン」を養成する(敵対者を味方につける) Gallupのクリフトンストレングスは、人は特定の領域に生まれ持った才能があるという原則に基づいたテストです。弱みを改善するよりも、才能に注目して伸ばす方が何倍も効果を得られるとしています。もし、バスケットボールのシュートに天性の才能(5段階で5)があるのなら、それを伸ばすためのレベル5の努力をすることで、25に到達することができます(5×5)。一方、バスケットボールの才能が5段階中2の場合、レベル5の努力をしても10にしか届きません(2×5)。 才能にあふれる従業員は、社内のデジタルアダプションを推進する「チャンピオン」です。既に広いビジョンを持ち、デジタルアダプションがDX戦略にどのように適合するかを理解し、戦略的プロジェクトにおいてCoEチームメンバーと連携しています。自身のレベル5の才能を伸ばすために、レベル5の努力をすれば、25の力を発揮する「スーパーチャンピオン」となります。スーパーチャンピオンは、デジタルアダプションのソートリーダーです。 スーパーチャンピオンは組織全体でエネルギーを発揮し、社内にさまざまな事例を広めます。一貫してデータを活用して価値のあるストーリーを説明できます。企業の中心的なポリシーや手順に従うことで、他の従業員の手本となります。さらには、デジタルアダプションにまだ賛同していない従業員との難しい対話にも取り組みます。本能的な親切心を持って、潜在的なリスクや中核部門に批判的な人を明らかにします。 こうなると、「デジタルアダプション」はスーパーチャンピオンの職務であるともいえます。ちょっと熱心なプロジェクトとして社内に浸透させるだけでなく、デジタルアダプションが永続的なビジョンとなるようにするための取り組みでもあります。 取り組むべきこと:スーパーチャンピオンの可能性がある従業員を挙げ、その理由を書きましょう。デジタルアダプションのアンバサダーとして継続的に成長できるように、その活動や報酬について定めた提言を策定します。デジタルアダプションへの熱意を広めるには、スーパーチャンピオンが広く認知され、尊敬され、重要な立場に立てるようにすることが必要です。 関係者マップは生きたドキュメントとして扱う 主要部門の主担当者の関係性を記した”マップ”を持っている方もいるでしょう。さらに、部門間の認識の差や対応プランまで把握しているかもしれません。ここで、そのマップをさらにレベルアップしましょう。 取り組むべきこと:3つ目の習慣の内容を基に、部門間の関係性における強みを、率直に考えてみましょう。この内容は、中核的なプログラムやガバナンスのリーダーのための社内向けドキュメントとして活用できます。四半期に1度は内容をアップデートしましょう。 次のような情報を追加することも考えましょう。「その人物が重視しているもの」、「その人物とCoEチーム中核部門はどのくらいの期間、関係性を持っていたか」、「その人物がデジタルアダプションプログラムやソリューションに関心を持っているか。何がきっかけで関心を持ったのか」「その人物に、文書化されたデジタルアダプションの成功事例はあるか。(ない場合は、実現に向けたアクションプランを作成できるか)」 さらに、関係者の中に、スーパーチャンピオン(3つ目の習慣を参照)になる可能性を持つ人がいる場合は、星印や太字、アンダーライン、ハイライトなどで強調します。また、鍵となる意思決定者がいる場合は、スーパーチャンピオンと共にその意思決定者を味方につけるための戦略を立てましょう。重要なポジションにいる敵対者にポジティブな影響を与えられる関係性に基づき、優先順位を決定します。 関係者に明確な期待値を設定する ここまで、デジタルアダプションプログラムの関係者についてお伝えしてきましたが、完璧な指示書やきちんと文書化されたナレッジベースがあっても、相手が賛同してくれなければ、何の意味もありません。そこで、関係者に関する原則をもう1つ紹介します。 たとえば、エクササイズのインストラクターが、「みんな、バーピージャンプをやります!はい、はじめ!」または、「みんな、バーピージャンプ10回!はい、はじめ!」と言うとします。どちらの言葉をかけられた方がやる気が出るでしょうか。前者の言葉を聞いたら、私は荷物を持ってすぐに部屋から出たいと強く感じます。何回やればよいのだろうか。少なくとも後者なら、なんとか歯を食いしばって10回やり遂げることができるでしょう。 このような期待値の設定は有効な方法です。心理学的に次のような敬意と信頼の感情に関連しています。この人は時間を取って、私に何を求めているかをはっきりと示している。十分な情報があれば、優先順位を付け、全力で取り組める。 最先端のデジタルアダプションプログラムは、関係者の期待値をしっかりと設定できるようになっています。図表や1ページ資料などに、次の質問の答えをわかりやすくまとめます。 どのようなスキルを伸ばす必要があるか。 CoEチームとのやり取りの中で、自分の「カスタマージャーニー」はどのようなものになるか。 どのようなタスクに、どれくらいの時間を割くことを期待しているか。 社内では他にデジタルアダプションを活用している人がいるか。また、それがうまくいっているか。 取り組むべきこと:現在の関係者の中で、中核サービスを活用してメリットを感じている2、3人に次のような質問をしてみましょう。プロジェクトを開始した時点で、当初の期待値設定をどのように感じていたか。第1段階以降、アフターケアや、継続中の関係はあるか。どのような部分がわかりにくかったか。プロセス全体で、どうすればもっとサポートされていると感じたか。中核部門は上記の質問に答える簡潔明瞭な資料を提供したか。 関係者についての話は以上です。次はプログラムのガバナンスについてお話しします。 優先順位付けのフレームワークを作成する デジタルアダプションプログラムに慣れてきたら、優先順位付けなど自分には関係ないと感じるかもしれません。しかし、未処理の仕事が多くなく、プログラムの対象がまだ1~2部門程度であれば、優先順位付けアプローチを取り入れる絶好のタイミングです。これは、虫歯にならないようにするために歯科に行くようなもので、いわば予防治療です。 取り組みとアプリケーションの2つの観点で、優先順位を検討します。「SalesforceとServiceNowのどちらが重要か」というような考え方に縛られていると、これらのアプリケーションの相互の関係性やユーザージャーニーが見えづらくなります。ユーザーが日々のタスクの観点で考えるとき、多くの場合、複数のアプリケーションにまたがっています。 デジタルアダプションの本質的な目標がユーザーエクスペリエンスの改善であれば、アプリケーションではなくワークフローの面で優先順位を検討します。 取り組むべきこと:目標はまず、定性的なフレームワーク(緊急度と重要度の比較など)で設定しましょう。その後、徐々に定量的なフレームワークへと移行します(数値など)。その間に、どのようなインプットが自社にとって最も重要か、計算する意味のあるインプットはどれかを明らかにします。 プロセスを繰り返し、常に好奇心を忘れない 優れたデジタルアダプションプログラムでは、常に改善方法が検討されています。標準作業手順書、資料、ポリシー、手続きなどは、すべて変動するドキュメントと考えましょう。年に1、2度は重要なドキュメントを再確認して有効性を評価し、修正を実施します。 取り組むべきこと:固定化されたドキュメントを生きたドキュメントにするための例をご紹介します。 標準作業手順書を大規模に修正する場合には、SWOT分析のT(脅威)を確認し、潜在的リスクを確実に考慮に入れたうえで、修正計画を策定する。 それぞれのプロジェクトにかかった時間を追跡し、データポイントに従って予測ツールを更新する。 チャンピオンがスーパーチャンピオンになったタイミングで、関係者マップを更新する。 このような習慣を確実に取り入れましょう。デジタルアダプションプログラムを恒久的に利用できるようになります。 デジタルアダプションの基本とその重要な役割については、効果的なデジタルトランスフォーメーションの実現をご確認ください。 ...

by WalkMe Team, July 20, 2023

他社のベストプラクティスに学ぶWalkMe実装のヒント ユーザー企業様が集い、定期的にノウハウや情報交換を行うWalkMeのユーザー会。冒頭のあいさつにあった「ユーザー会の主役はWalkMeではなく、みなさまです」という言葉どおり、回を重ねるごとに、ユーザー主体でコミュニティ活動を企画していこうという流れも生まれつつあります。今回は、SAP AribaにWalkMeを実装している6社11名のご担当者様が参加。内3社がデモを交えながら活用事例を発表しました。同じ業務に関わる担当者たちが会社の枠を越えてつながることで、自社では気づかなかった新しい活用方法に出会えたり、他社のベストプラクティスに改善策のヒントを得たり、今回も参加者にとって実りある時間となりました。ここでは事例発表に登壇した各社の活用状況を簡単にご紹介します。 6社11名の方にご参加いただきました! ご参加いただいた企業にご紹介いただいた活用事例の一部をご紹介します。 国内総合産業大手A社WalkMeの活用でSAP Aribaの操作環境に”心地よさ”を目指して■間接材購買向けにSAP Aribaを導入■約3,000人が利用 SAP Aribaというクラウドソリューションを導入した背景には、システムに業務をフィットさせる「Fit to Standard」の考え方があります。しかし、「カスタマイズをしない」という強い意志のもとで進めるとなると、どうしてもユーザーに負担が掛かります。加えて、SAP Aribaのユーザーインターフェースに戸惑うユーザーが多く、WalkMeの力を借りてユーザビリティの向上を目指すことにしました。同社のゴールは「ユーザーを迷わせないこと」です。そうすることで、差し戻しが発生することもなくなるからです。差し戻しの発生は、ユーザーはもちろん、管理部門にとってもハッピーではありません。したがって、最終的には差し戻しをゼロにすることを具体的な目標として掲げています。「超理想としては、せっかくデジタルアダプションツールを使うのですから、SAP Aribaの操作において心地よさを感じるところまでたどり着きたいと考えています」とご担当者。アジャイル開発の手法を取り、現在も隔週ペースでメンテナンスを続けながら、少しずつSAP Aribaのユーザビリティを向上させているところです。 <WalkMeでの実装内容>• 初めてSAP Aribaを操作するユーザー向けのガイドを作成• SAP Ariba標準のフロー、挙動や項目でわかりにくい箇所を補完する説明を付与• よくある操作ミスや入力ミスが起こりやすい箇所の説明を付与• 社内運用周知やSAP Aribaの利用にあたってユーザーに見てほしい点のお知らせ <期待される導入効果>• 問い合わせ数の削減• 自己解決率の向上• 誤入力の削減• SAP Aribaのバージョンアップへの柔軟な対応 国内化学業界大手B社インサイト機能を使って月1回ペースでメンテナンスを実施■SAP Ariba導入■グループの約18,000人が利用 入力補助を行うだけでなく、必要な情報を必ず入力させるなど、SAP Aribaのユーザビリティを改善することで入力ミスやヌケモレを防ぎ、結果的に差し戻しや問い合わせを減らしたいという思いから、2023年6月にWalkMeを導入。主に、申請者向け「カタログ購買」補助および「見積依頼~発注」までの操作フォローを目的として、WalkMeでガイダンスを作成しています。メンテンナンスについては、WalkMeのインサイト機能を使った分析やユーザーの問い合わせ状況から週次で確認した結果をもとに、月1回ペースで継続的に改修を行っています。 <WalkMeでの実装内容>• 申請者向けのガイダンスの作成• 必須項目におけるTIPSおよびウォークスルーでの入力促進• 編集禁止項目のマスク <WalkMe実装時の工夫点>• 仕様策定から設計、開発、テストまで、ソフトウェア開発プロセスに則った開発を実施することで実装内容をドキュメント化し、メンテナンス時の工数を削減• 使用率の低下につながらないよう、ユーザーにはできるだけ少ない文字数で説明• URLでページを一意にできないというSAP Aribaの制約を踏まえ、そのページにしか記載してはいけないガイダンスが別ページに映り込む現象を防止するためにエレメント判別とJqueryセレクタを使用して表示条件を作成 各社の事例紹介が終わるごとに、同じ悩みを抱える参加者からさまざまな質問が寄せられ、WalkMeでのより良い解決策を求めて試行錯誤されている様子が伺えました。また、事例紹介のあとには、WalkMeにとどまらず、購買業務全般の共有を含めた情報交換の時間が設けられ、各テーブルで有意義なディスカッションが展開されていました。 ユーザー会の最後には、WalkMeの担当者がWalkMeユーザー向けの新しいサイト「MiteMe Web」の新規開設についてアナウンス。ユーザーコミュニティの情報やベストプラクティスをまとめたドキュメントなどを掲載したサイトで、今後ビルダーコミュニティとして機能していくことが紹介されました。こうした新たな動きと共にWalkMeは今後も進化を続け、多くのユーザーの期待を受けてその可能性を拡げていこうとしています。WalkMeの成長においてユーザー会が果たす役割も、ますます大きくなりそうです。 ...

by WalkMe Team, July 18, 2023

少なくとも1人は「買い物依存」と言いたくなるような知人がいる、という方は多いのではないでしょうか。そうした人はどういうわけか、ぴかぴかの真新しいおもちゃや服が幸福を運んできてくれると信じ込んでいます。しかし、クレジットカードで支払いを済ませて買った物を家に持ち帰ると、そのほとんどは箱に入ったまま捨て置かれ、ほこりをかぶることになります。 これをビジネスに置き換えてみましょう。リーダーの中には、業務アプリケーションの買い物依存とでも言うべき人がいて、導入した成果を見極めることなく次々と新しいプロジェクトに手を出し続けます。もちろん、これはあるべき姿ではありません。保護者が子どもにお小遣いの使い方について諭すときと同じです。ビジネスリーダーも節約を心がけ、自分の欲求を満たすのは後回しにして、将来的なより大きな価値を享受すべきです。 デジタルアダプションのギャップ 多くのリーダーが買い物依存に陥るのは、現在デジタルトランスフォーメーションに非常に多額の投資が行われていることに理由があります。その規模は非常に大きく、調査が明らかにしたところによると(英語)、企業は今後もデジタルトランスフォーメーションへの投資を続け、その額は2040年までに2,320億ポンドと、英国経済の成長に大きく貢献することが見込まれています。 こうした投資により企業が目指すものは、業界にかかわらずおおよそ似通っています。すなわち、収益の増大、営業利益の改善、顧客や従業員あるいは関連企業のエクスペリエンスの向上、リスクの低減といった成果です。中には、こうした成果を達成しようと、何百ものアプリケーションに投資する企業もあります。しかし現実には、そのような企業の多くが、投資したソフトウェアや機能のほんの一部しか利用していないのです。 まさにこれが「デジタルアダプションのギャップ」です。企業が支払ったコストと、達成された成果のあいだに乖離が生じています。こうしたギャップを埋めることができれば、現時点ではユーザーへの導入状況が限定的であるために効果がなかなか出ていない投資について、真の価値を引き出せるようになるはずです。しかし、デジタルアダプションのギャップを埋めるためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか? 3つのP もちろん、すべての企業が同じようなデジタルアダプションのギャップを抱えているわけではありません。シナリオは企業ごとに異なります。それでも、ギャップを埋めたいと考えている企業は、以下の3大要素を活用するべきでしょう。 1 - プラットフォーム 1つ目の要素は、近年Gartnerなどから認められたカテゴリ(英語)で、デジタルアダプションを効率化するテクノロジーのデジタルアダプションソリューション(DAS)です。中でも最も一般的なデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)は、デジタル製品の上位にあたるレイヤを形成し、カスタマイズされたユーザー向けガイダンスやデータの可視化を実現することで、テクノロジーの導入の拡大、また最終的にはビジネス成果の達成を促します。 単一のインターフェイスで動作するDAPは、何百ものアプリのインターフェイスを習得しなければならないという負担から解放してくれるもので、従業員にとっては職場で直面する悩みの多くを改善してくれる存在です。また、DAPはカスタマイズが可能であるため、自分の担当業務に関係のない研修を何時間も受ける必要もなくなります。ただし、こうしたプラットフォームは革新的ではあるものの、プラットフォームを導入しただけでは効果を発揮することができません。 2 - 人材 2つ目の要素は、デジタルアダプションプラットフォームの専門人材(DAPプロフェッショナル)です。DAPプロフェッショナルとは、簡単に言えばDAPを活用して企業のデジタル戦略の推進と統括を担当する人材のことです。このような人材は、特に従業員がデジタル投資を最大限活用するための取り組みに注力しています。テクノロジーの導入について、社内の進捗や達成状況を測定する役割を担っています。 DAPの利用が拡大するとともに、DAPプロフェッショナルはエンタープライズ環境においても一般化しつつあります。かなり新しい役割とはいえ、正式なポストとして認める企業はすでに増加傾向にあり、初のDAPプロフェッショナルの資格も最近ではますます人気が高まっています(英語)。 3 - 粘り強さ 成功のための3つ目の要素は粘り強さです。次のことを始める前に「物事をやり通す」力とも言えます。デジタルトランスフォーメーションに期待される価値が生み出される前に、そこからスポットライトを外してしまうような行動は損失につながる可能性があります。しかし、ありがちな過ちでもあるのです。 デジタルトランスフォーメーションは、一挙にあらゆることが解決するような一度限りの投資という観点で見ることはできません。CIOらビジネスリーダーは、長期的な取り組みのつもりで準備を整え、デジタルエンタープライズの実現は継続的なプロジェクトであると考えるべきです。DAPやDAPプロフェッショナルが注目を浴びつつあるのは、まさにこのためです。これらは今後数ヶ月、あるいは数年で、ますますその重要性を増していくでしょう。デジタルアダプションに注力することで、ビジネスは投資から最大限の価値を引き出し、将来的に生じる「次の目玉」に必要以上のコストを支払わなくて済みます。 企業としての模範を示すには 企業のデジタルトランスフォーメーションが期待された成果を上げなかった場合、投資対象となったテクノロジーが潜在能力を十分に発揮できるほど活用されていなかったという事例は非常に多くあります。既に行った投資の調査を積極的に実施している企業は少ないかもしれませんが、これは重要な第一歩であり、こうした機会を逃す手はありません。このような取り組みにより、大きな成果が得られるまで忍耐強く待つのか、いかにも買い物依存らしく、ぴかぴかの新しいおもちゃを次々に買い込むのか、その違いを明らかにすることができます。テクノロジーを棚にしまったまま使いもせず、ほこりをかぶるまで放置するのではなく、あるものすべてを活用することを優先するべき時を迎えています。 ...

by WalkMe Team, July 11, 2023