WalkMeがイスラエルでIPOを実施してから1年以上が過ぎた先日、私は米国チームとカリフォルニアでお祝いを開きました。このイベントは、コロナ禍のために開催が延期されていましたが、待つだけの価値は十分にありました。昨年の株式公開はそれだけ重要なマイルストーンだったわけですが、最終的にはお祝いのムードを長く楽しめることとなり、とても嬉しく思っています。チーム一丸となって大きな目標を達成したことを思い出すひとときとなっただけではなく、さまざまなことをじっくりと考える良い機会になりました。
IPOというユニークで価値ある体験
2018年にWalkMeがユニコーン企業となった頃のことをよく覚えています。ユニコーンは想像上の生き物ですが、テクノロジー業界におけるユニコーンは実在し、WalkMeは「ブレッシング」の仲間入りを果たしたというわけです(面白いことに、ユニコーンの集団のことを「ブレッシング(祝福)」と呼びます)。その後まもなく、創業10年以上が経過したイスラエル企業との交流が始まりました。これらの企業(の大部分)は偶然にも、WalkMeと同じく創業者兼CEOが率いる企業でした。Check Point Software、Wix、Monday.com、Fiverr、Gong、SimilarWeb、JFrog、Redis Labsといった企業がこれにあたります。この頃、私たちは株式公開までの最終段階に近づきつつあることを認識していました。
IPOに向けたプロセスに着手するというのは、ユニークで価値のある体験でした。中でも特に心に残るのは、すべてのプロセスにおいて、お客様とそのお客様が語るストーリーがいかに不可欠で重要なものであるかということでした。WalkMeがお客様にもたらした価値を自ら語るのと、お客様が現場でのご自身の経験に基づきお話しされるのとは、全く重みが異なります。お客様こそがWalkMeのストーリーのヒーローであることは明らかです。お客様は、デジタル戦略を推進し、新しい働き方に力を注ぐイノベーターです。お客様がWalkMeと業界初のデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)を信頼してくださったことに心から感謝しています。
新しい節目を迎えたDAP
今年は、WalkMeがDAPの提供を開始してから10年目にあたります。デジタルトランスフォーメーションプロジェクトへの継続的な投資やデジタルアダプションのROIのおかげで、10年前には「あるといい」だったものが、今や「なくてはならない」ものへと進化しました。アナリスト企業がDAPについて取りあげる機会も、着実に増えてきました。2022年第1四半期の時点で、Gartner、Forrester、IDCはいずれも、2022~2023年の評価レポートにおいて、正式にDAPカテゴリについて論じています。WalkMeの特許数が10件以上、顧客数が2,000社以上に到達し、さらにIPOを経た今、「デジタルアダプション」はデジタルトランスフォーメーションプロジェクトにおいて予算が割かれる項目となりつつあります。事実、先日WalkMeが実施した調査レポート(英語)では、約1,500名のITリーダーが、今後3年間でデジタルアダプションに平均して3,000万ドル以上の予算をあてる予定だと述べています。こうした波が確実にやって来ているのです。
ここまでに10年かかったのはなぜでしょうか。他のエンタープライズ向けソフトウェア企業と同様、WalkMeもまずニーズがあり、次にビジョンを打ち立てました。それから、優れたアドバイザーと契約し、資金を確保し、チームビルディングを進め、受注を獲得する、といったステップをゆっくりと進めてきたのです。しかし、最大の変数となるのは市場です。では、市場の成熟度はどうでしょうか。
現代において、デジタルトランスフォーメーションが引き続き重視され、それらのプロジェクトの成否の鍵はテクノロジーアダプションが握っています。テクノロジーをビジネスにうまく組み込めなければ、デジタルプロジェクトが頓挫しかねないということを、時間とともに企業が認識するようになってきました。非常にシンプルな話といえるでしょう。デジタルトランスフォーメーションとデジタルアダプションは次第に密接に関連し合うようになっており、こうした認識を持つ企業も次第に増えつつあります。
DAPプロフェッショナルという新しい職業
私の業績のうち、どれを最も誇りに思うかと尋ねられることがあります。多くの方はWalkMeの株式公開や、新しいテクノロジーカテゴリを生み出したこと、という答えが返ってくるものとお考えでしょう。どちらも非常に重要なできごとですが、私が最も誇りに思うのは、DAPプロフェッショナルという全く新しい職業を作ったことです。
DAPプロフェッショナルに含まれるのは、WalkMeの全世界1,200名以上の従業員だけではありません。DAP市場というカテゴリの確立に成功したことで、「DAPプロフェッショナル」という新しい職種を生み出すことができました。DAPプロフェッショナルは、企業のデジタルトランスフォーメーション戦略の一環として新しいテクノロジーの導入を舞台裏で支えることにより、デジタル投資を確実に成功へと導きます。
2021年以降、LinkedInの個人の職歴欄に「WalkMe管理者(アドミン)」と記載されたプロフィールは40%増加し、4,600人を超えました(WalkMeの従業員を除く)。人々は、WalkMe管理者という経験を積むことがキャリア上のチャンスにつながると考えているのです。また、企業もデジタルトランスフォーメーションを成功させるための戦略としてこれを捉えています。
今後のWalkMe
WalkMeの最初の10年のマイルストーンが徐々にバックミラーの中で小さくなっていく今、未来に目を向けなければなりません。WalkMeの次の10年は、どのようなものになっていくでしょうか。全世界では、水準こそ違いますが、経済が引き続き変動を続けています。その中でWalkMeにとっていくつか確かなことがあります。すなわち、私たちは今後もイノベーションに取り組み、従業員やパートナーに投資し、お客様の成功のために熱意を持って注力し続けるということです。今後の旅路も素晴らしいものになるに違いありません。
背景: このブログは、イスラエルのテクノロジー分野のアントレプレナーにより創業されたWalkMeの製品について、10年の歴史を概説するものです。本記事には、このようなプロセスや諸課題に取り組んできた個人の観点としての意見が含まれる場合があります。また、Dan Adikaが過去10年で経験してきたトレンドや今後の見解についても言及されることがあります。