IT資産管理におけるソフトウェア管理の始め方

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By WalkMe Team
Updated October 22, 2024

ソフトウェア業界では過去20年間でSaaSへ大きくシフトしました。IT資産管理においては、かつてから社内のソフトウェア管理が行われてきましたが、中小企業でも多数のSaaSライセンスを所有している今、自社のソフトウェア支出をどのように可視化し、管理するかを再考することが求められています。

本記事では、IT資産管理に必要不可欠なソフトウェア資産管理の始め方について解説します。

IT資産管理(ITAM)とは?

IT資産管理(IT Asset Management、略称ITAM)とは、企業や組織が所有するIT資産(ハードウェアやソフトウェアなど)のライフサイクル全体を管理し、効率的に活用するためのプロセスや方法を指します。IT資産の購入から、導入、運用、メンテナンス、そして最終的な廃棄までのすべてを包括し、コスト削減、コンプライアンスの確保、リスクの最小化、そして資産の効率的な利用を実現します。

中でも、急激なSaaSアプリケーション数の増加によりソフトウェア管理の重要性が高まっています

ソフトウェア資産管理(SAM)とは

ソフトウェア資産管理(Software Asset Management、 略称SAM)は、企業がソフトウェアのライセンスを効果的に管理・最適化するためのプロセス、手法を指します。2024年までにSaaS市場規模は2015年の320億ドルから2320億ドルにまで拡大すると予測されており、今後もソフトウェア資産管理の必要性はますます高まるばかりです。

SaaSライセンスの仕組み

ソフトウェア資産管理を理解する上で、SaaSライセンスの仕組みを理解することが重要です。SaaSライセンスは顧客がどのようにソフトウェアを使用するか、各機能の価値をどう評価するかによって定められています。そのため以下のように様々な種類のライセンス形態が見られます。デジタルを駆使する企業では、異なるライセンス携帯のSaaSツールが使用されているのが一般的です。

  • ユーザー数ベース
  • 同時使用ベース
  • 機能ベース
  • ストレージベース
  • 時間ベース
  • モジュールベース
  • 利用量ベース
  • フリーミアム など

 

ソフトウェア資産管理は誰が担当すべきか?

ソフトウェアライセンスの管理者は、企業の規模や構造に応じて異なります。中小企業ではITマネージャーなど、大企業においては専任のチームが担当するケースもあります。ソフトウェア資産管理における一般的な登場人物をご紹介しましょう。

  • ITマネージャー
    ITマネージャーは企業全体のITインフラストラクチャを管理します。中小企業ではITマネージャーがソフトウェアライセンス管理の全責任を負うことが一般的です。
  • ソフトウェア資産管理者
    大企業では専任のソフトウェア資産管理者をおくケースもあります。企業で使用するすべてのソフトウェア資産を管理し、コストの最適化や、コンプライアンスの準拠を徹底します。
  • 財務部門
    財務部門がソフトウェアにかかる支出を追跡することもあります。未使用ライセンスの特定、ベンダーとの契約内容の見直しを行います。
  • コンプライアンス担当者
    ソフトウェアの利用状況を分析し、セキュリティ対策やコンプライアンスの遵守を徹底します。

 

ソフトウェア資産管理の利点

もし現在体系的にソフトウェア資産管理を行っていない場合は、戦略を見直す必要があるでしょう。ソフトウェア資産管理の主なメリットをご紹介します。

ソフトウェア資産管理を行う9つの利点_6266fa41

  • ソフトウェアにかけるコストの削減
    ソフトウェアライセンスの管理を通して重複した費用を特定したり、非アクティブユーザーのライセンスを削除します。これを徹底することでソフトウェアライセンス費用を最大で30%削減できると言われています。
  • リスク管理の強化
    ソフトウェアの利用状況を可視化し、許可されたユーザーのみがアクセスできるように徹底することでセキュリティリスクの軽減、データ漏えいやその他のリスクを低減します。
  • 契約条件と更新プロセスの改善
    SaaSへの支出を明確に把握し、ベンダーとの契約条件や更新タイミングにおいて適切な交渉を行えるようになります。
  • コンプライアンスの向上
    ソフトウェアライセンス規約に対する企業のコンプライアンスを遵守し、ペナルティなどから企業を守ります。
  • 意思決定プロセスの改善
    SaaSの利用状況をリアルタイムに可視化することで、ライセンスを購入、更新、または解約すべきかをデータドリブンに意思決定できるようになります。SaaSに対する支出を最適化し、価値を最大化します。
  • SaaSの利用状況を可視化
    デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)などを活用し購入済みのライセンス数、各ライセンスに割り当てられたユーザー、利用度などの詳細データを可視化します。このデータを基に未使用ライセンス、重複コストや潜在的なセキュリティリスクを特定できます。
  • ライセンスの自動プロビジョニングと解約
    ライセンスのプロビジョニングおよび解約プロセスを自動化し、ユーザーに適切なライセンスを割り当て、非アクティブユーザーにライセンスが無駄に割り当てられることを防ぎます。
  • レポートと分析
    SaaSの利用状況を分析するレポートで利用状況を把握し、改善ポイントの特定、SaaSへの投資の最適化などの意思決定を行うことができます。
  • 企業の機密データを保護
    許可されたユーザーのみが機密データにアクセスできるように徹底することで、機密データを保護します。ユーザーの役割や権限に基づいてSaaSアプリケーションへのアクセスを制限します。

ソフトウェア資産管理における課題

ソフトウェア資産管理においては課題もあります。一般的な課題をご紹介します。

効果的なSaaS管理のチャレンジ

ソフトウェア資産管理の重要性はすでにご理解いただけたと思います。しかしこれは簡単なものではありません。前述の通り、SaaSアプリケーションはそれぞれ異なるライセンス形態で運用されることも多く、その管理には様々な課題が存在します。

  • SaaSアプリケーションとデジタルフリクションの増加
    企業が使用するSaaSアプリケーションの数は急速に増加しており、デジタルフリクション(従業員がデジタルツールを使う際につまづいてしまうポイント)を引き起こす可能性が高まっています。これにより多数あるSaaSアプリケーション全てが適切に使用されているかを分析、確認するのが困難になっています。
  • レガシーシステム
    企業内の全ソフトウェアを厳密に分析することが理想的ですが、レガシーシステムが適切な管理なしに維持されているような状況では、未使用のライセンスを特定したり、使用状況を追跡することが困難になります。
  • マニュアルプロセス
    特に多くのツールを利用している大企業においてはソフトウェア資産管理をマニュアルで行うと大変多くの時間がかかり、非効率的です。ソフトウェアにおいては利用状況の可視化やライセンス管理ができるデジタルアダプションツール(DAP)などが用いられます。
  • シャドーIT
    シャドーITとは、IT部門の許可や認識なしに従業員によってインストールされているツールなどを指します。これを管理できていないと、SaaSライセンス利用を追跡したり、組織のポリシーに準拠してライセンスが使用されているかを確認するのが困難になります。

 

ソフトウェア資産管理の始め方

では、どこからソフトウェア資産管理を始めれば良いのでしょうか?以下の点を考慮し、戦略を練ることが重要です。

ソフトウェア資産管理戦略の基本_866fa424

  • ライセンスの調達
    ライセンスの取得、契約交渉、ライセンスモデルの評価を行い組織のニーズに合ったものを選びます。アプリケーションの種類、ユーザー数、必要な機能、予算などを考慮します。
  • ライセンスのトラッキングとインベントリの管理
    購入したライセンスの種類、数量、有効期限、関連するコストなど、SaaSライセンス管理を徹底します。契約条件に従っているか、最適化するポイントを確認します。
  • ライセンスのコンプライアンス遵守
    ライセンス契約の使用制限、ユーザー数の上限などを遵守し、違反による罰則を回避します。
  • ライセンスの最適化
    ライセンスの利用状況を分析し、最適化できる箇所を特定します。たとえば、利用が少ないアプリケーションからライセンスを再割り当てしたり、重複したライセンスを排除したり、実際の利用状況に基づいてライセンスを縮小したりすることができます。
  • ライセンスの更新とキャンセル
    ライセンスの更新プロセスを管理し、ライセンスが不要になった場合は即座に解約します。
  • ライセンスの分析とレポーティング
    ライセンスの利用状況を分析・レポーティングし、データドリブンにライセンス配分や最適化などの意思決定を行います。
  • IT資産管理との統合
    ソフトウェア資産管理をより広範なIT資産管理と統合し、IT資産全体の中のソフトウェア資産の配分や最適化を行います。

 

デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)によるソフトウェア資産管理

IT資産管理においてはIT資産管理ツールが用いられますが、特にソフトウェア資産管理において注目されているのがデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)です。WalkMeのようなデジタルアダプションプラットフォームでは、従業員がソフトウェアをどのように使用しているか、非常に詳細に分析することができます。

リアルタイムのダッシュボードを使用することで、アクティブなユーザーが多いソフトウェアとそうではないツールを特定し、企業のソフトウェア投資に関する意思決定を簡単に行うこともできます。そのほかにもシャドーITの特定や、従業員がつまづいている箇所で適切なガイドを提示するなど、その機能は様々です。

DX時代の今、ソフトウェア資産管理は全企業にとって重要な課題です。今後もインフラサービスやセキュリティ面でSaaS支出が加速すると予測されている今こそ、SaaSポートフォリオ全体にわたって、ライセンス管理を実現する必要性が高まっています。

ご興味のある方はぜひこちらよりお問い合わせください

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