7社7様の活用から拡がるWalkMeの可能性
ユーザー企業様が集い、定期的にノウハウや情報交換を行うWalkMeのユーザー会。2022年7月7日、NTT西日本が運営するオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」を会場に開催された今回は、7社からWalkMeの定着・活用支援を担う方々が参加。各社から実際のデモを交えた活用事例が発表され、他社のノウハウをヒントにさらなる活用の可能性を探ろうと、活発な意見交換が行われました。各社の運用状況を簡単にご紹介します。
ご参加いただいた企業にご紹介いただいた活用事例の一部をご紹介します。(五十音順)
オムロン株式会社
SAP Aribaの目指す姿を実現する正しい操作をナビゲーション
■対象システム:SAP Ariba
グローバル標準の間接材購買システム「SAP Ariba」の日本への導入をきっかけにWalkMeの導入に踏み切ったオムロン株式会社。調達業務の標準化、プロセスの効率化、ガバナンスの強化を目指して既存システムからSAP Aribaに切り替えを行っているが、「グローバル標準の仕組みのため、日本特有の消費税の入力方法などは特に複雑で、該当のマニュアルを探す、その内容理解にも時間がかかるなどローカライズの課題と、今後ユーザーの増加が明らかで、問合せに対応しきれない可能性がありました」と溝田由美子氏。
日本の法規制に沿ったガバナンスの強化、データドリブンな活用を実現するための処理方法の標準化、問い合わせの減少による業務の効率化がWalkMeの導入目的です。「システムの正しい操作を、視覚的にナビゲーションすることで、SAP Aribaの目指す姿を実現できると考えています。極論ですが、WalkMeが最終的に不要になることが、最大の導入効果かもしれません。」(溝田氏)
大和ハウス工業株式会社
ユーザーが意識せずに必要なデータや操作にたどりつける環境へ
■対象システム:勤怠管理システム「リシテア」(日立ソリューションズ)
10年以上使い続けた内製の勤怠管理システムから、18,000名のユーザーを対象にリシテアへの切り替えを進める中で、システム教育をおこなう期間が取れないことから操作補助の必要性を感じWalkMeを導入。目的の1つは勤怠管理システムの利用者の負担および不安の軽減。もう1つは、労務管理の制度・ルールの周知です。
試行期間を設けることなくリシテアを導入したことや、パソコンの稼働時間を労働時間とする客観記録にルール変更したこと、さらにはフレックスタイム制度を同時に導入したことなど、急な環境の変化にユーザーが慣れず、制度の使い方やルールも含めて周知が必要だったことが背景にあります。
WalkMeでの主な実装内容としては、吹き出しを活用した入力補助、重要事項への遷移率を高める仕組み、入力項目についての説明の付与、アンケートの実施など。
「シャウトアウトやサーベイの機能を使ってお手軽にアンケートが行えるのはいいですね。短期間で回答率アップが期待できます。実際、約2週間で、アンケート対象ユーザー14,000名のうち7,000名が回答してくれました」と池田昇平氏。また、別途実施したWalkMe自体の効果測定アンケートでは、回答者の86%が「あってよかった」、93%が「便利になる」と回答したと言います。
メンテナンスは、ヘルプデスク部門とも連携し、問い合わせが多い理由を分析しながら定期的に実施しており、池田氏は、「ユーザーが意識せずに必要なデータ、必要な操作にたどりつくような環境を実現していきたいですね」と語っています。
国内大手製薬企業
パッケージ製品のエンハンスを待つまでの”つなぎ”としても有効
■対象システム:LifeSphere Reporter(アリスグローバル社)
国内大手製薬企業A社では、医薬情報担当者(MR)が医療関係者から安全性情報を収集した際に安全管理統括部門に報告を行うためのLifeSphere ReporterにWalkMeを導入しています。その導入目的は、安全性情報の報告遅延や不正確な報告を避け、コンプライアンスリスクを低減すると共に業務効率を改善すること。5月16日に稼働を開始したばかりで、ビルダー2名体制で月に1〜2回程度エンハンスを行っていく考えです。
「初心者でも入力しやすくしたり、入力規則に関する注釈や内容チェックを加えたりすることで入力のモレや誤りを削減していきたい」とご担当者様。システム標準では黒字でしか表示できない箇所を赤字で目立つように強調したり、ユーザーの習熟度によって使用するメニューを選べるようにしつつも、重要な入力規則の注意喚起は共通で表示したり、システムそのものにはない機能をWalkMeで補完できるメリットを実感しています。
「LifeSphere Reporterはパッケージ製品なのですぐにはエンハンスできませんが、WalkMeで欲しい機能を速やかに実装できます。エンハンスまでの”つなぎ”としても有効です。」(ご担当者様)
株式会社竹中工務店
滅多に使わないシステムも誰もが迷わず操作できる環境を用意
■対象システム:らくらく通勤費(株式会社無限)、PeopleSoft・HCM Cloud(日本オラクル株式会社)
人事部門で通勤費の申請や身上の申請、人材開発系クラウドシステムにWalkMeを導入した株式会社竹中工務店。3つのシステムは、全社員にとって初めて触るものであり、一日中社外で活動している社員にとっては申請の時間がないという現状もありました。また、わからないときはマニュアルを読むより問い合わせをして直接聞くという社員が多い。さらに、身上申請などはルーティーンで行うものではなく、滅多にその必要性が生じないという特性もあります。少しでもわかりやすく効率的に申請が行える環境を用意することで、社員からの問い合わせを減らすこともWalkMeの導入目的の一つでした。
WalkMeでは、何を選べばよいのか、次にどこを押せばいいのかをわかりやすくガイダンス。「異なるシステムでもWalkMeで同じガイドボタンを統一的に使うことで、ガイドを押せばいつでもナビゲーションしてくれるという理解を定着化させることができます。社員からの質問が減ったという声もあるので、迷いなく使えているのかなという感触があります」と矢倉由香子氏。
今後は社員にアンケートを取り、現状の使い方について詳細に把握し、さらに”操作を迷わない”構築を目指していく考えです。
ディップ株式会社
分析に基づく機能追加により顧客でのサービス活用率向上に加え、営業メンバーからの問い合わせを25%削減
■対象システム:面接コボットforアルバイト/HRコボットfor応募対応
「面接コボットforアルバイト/HRコボットfor応募対応」では応募者対応をロボットが24時間、自動で行うことで「利用企業の工数削減」および「面接率の向上」を実現します。
このサービスは、運用前に「面接可能な日時の登録」など顧客自身での初期設定が必要です。
サービス導入後、多忙な顧客でもスムーズにセッティングできるようそして、営業メンバーが販売時に開発チームへ仕様確認をすることなく商品説明できるよう、サービスUIをフォローする役割としてwalkmeを導入しました。
「ユーザーからの要望やよくある問い合わせをもとにだいたい月に2~3個の機能追加を行っています」と大西陸氏。
主な実装内容としては、管理画面へのログイン時にシャウトアウトで初期設定のガイダンスメニューを表示。さらにランチャーでスマートウォークスルーが開始され運用にあたり必要な設定を顧客自身でスムーズに完了できるようにしています。また、管理画面に「よくある質問」を設置。ケースごとに解決策を示した資料へ速やかにアクセスできます。
大西陸氏は「一連の取り組みにより、顧客のサービス活用率向上に加え、営業メンバーから開発チームへの問い合わせも約25%削減できています」とその手応えを語りました。
西日本電信電話株式会社
ユーザーの役割に応じたナビゲーションで5万人をサポート
■対象システム:SAP SuccessFactors
SAP SuccessFactorsならびにWalkMeを5万人の社員が使用しているというNTT西日本。WalkMeの導入前は、社員の「使いにくい」という声に応えるために内製で対応してきたものの、細かい部分でのケアが難しく、またパッケージ製品では機能改修の柔軟性がないため、WalkMeの導入に踏み切ったといいます。データ活用による人材育成を目指すため、システムの利用を定着させ、データ品質を高める狙いもありました。
ビルダーご担当者の方は、「人材育成システムなので役割に応じた使い方があるのですが、WalkMeのおかげでそれぞれのタスクに応じたナビゲーションを実現できています。パッケージ製品では手の届かないところをWalkMeでサポートしてあげられます」と説明。インサイト機能により利用状況をモニタリングし、可視化できる点も評価しています。
日東電工株式会社(Nitto)
SAPのグローバル導入をWalkMeの機能で効果的に支援
■対象システム:SAP SuccessFactors、SAP Ariba、SAP Fieldglass
SAPのシステムをグローバルに導入しているNitto。たとえば、SAP Aribaは世界11ヵ国30数拠点に展開しており、バイヤー業務を中国に外部委託していることから、言語の違いの問題で差し戻しが発生することもしばしば。こうした手間を削減するためにWalkMeを導入し、要求元の操作補助、締日の連絡や検収の依頼といった重要情報の通知などの機能を実装しています。
実際のデモでは、ユーザーにやってほしくない操作を阻止したり、集計作業を見越して正確な入力を促したり、システム上では入力必須とされている項目に意図的に入力できないようにしたり、WalkMeの機能を使って効果的に制御している様子が説明されました。
「問い合わせ数は20%以上減っていると思います」と上原佳子氏が語るように、その効果は着実に現れているようです。
事例発表後は、7社の担当者20名が4つのグループに分かれて情報交換を行いました。業種や業態、対象システムが異なるものの、抱える悩みや目指す姿は同じ。WalkMeという共通言語があることで会話がはずみ、「とても参考になりました」「自社に持ち帰ってさっそく実践したい」という声も多く聞かれました。