ユーザー企業様が集い、定期的にノウハウや情報交換を行うWalkMeのユーザー会。毎回、業種や企業の枠を越えてWalkMeのユーザーである企業担当者たちが集まり、より良い活用に向けて、さまざまなユースケースやアイデアをシェアし合う貴重な機会となっています。今回は、SAP ConcurにWalkMeを実装しているユーザー企業が参加。「コンテンツ保守管理」と「分析・効果測定」の2点にフォーカスし、WalkMeの価値を最大限に引き出す運用のあり方をメインに議論を深めました。
1st sessionでは「コンテンツ保守管理」について株式会社荏原製作所から、2nd sessionでは「分析・効果測定」について株式会社コーポレート・デザイン・パートナーズから、それぞれ自社の運用状況が紹介されたあと、4チームに分かれた各テーブルで各社の取り組みや考え方、具体的な施策などをシェアし合うというスタイルでの進行となりました。
1st session コンテンツ保守管理
対症療法的なメンテナンス方法からの脱却
株式会社荏原製作所では、SAP Concurの運用チームとは別に、WalkMe専属チームを設置して運用を回しています。「決してうまく回っているわけではありません」と語る加藤氏は、前職でもWalkMeを使用していた経験を持ち、WalkMeの専任者として同社に転職を果たしたという珍しいケース。同社では21ものシステムにWalkMeを実装しており、現実問題として、専属チームがないと回しきれない状況でもあります。
「事前にディスカッションしたいテーマ、悩んでいるテーマをアンケートしたところ、構築したコンテンツをどうやって保守していくべきなのか? SAP Concur側でのUI変更による要素ハズレが発生したときにどうやって対応するのか? 開発や保守の体制はどうやって組んでいるのか? 使われていないコンテンツや効果が出なかったコンテンツは定期的に見直したほうがいいのか?といった点で、多くの担当者様が悩まれていることがわかりました。」(加藤氏)
これまで荏原製作所では、気づいたら対応する、問い合わせがあったら対応するといったやり方で進めてきましたが、現在、メンテナンス方法について次の2つの活用を実践中です。
- WalkMeシールドの活用
WalkMeシールドは、エンドユーザーによるWalkMeのエクスペリエンスを常に最新のものに更新する自動化されたテストソリューション。スマートウォークスルーのみならず、ランチャーやスマートチップもテストできます。ただ、ストーリーごとにシールドを構築しなければならないため、コンテンツが増えるほどシールドの活用が大変になる可能性があります。
- BIの活用
WalkMeからCSV形式でエクスポートしたデータを外部のBIツールで分析。期間ごとの比較がしやすいなど、WalkMeインサイトでは難しい、よりきめ細かな分析が行えるため、WalkMeでうまくいかない原因を探るのに有効です。
<ディスカッションタイム>
こうした荏原製作所の取り組みを受けて、各テーブルで自社の工夫点などを自由にディスカッション。最後に各テーブルで話題になったこと(以下)が全員にシェアされました。
「体制に関しては少人数でやっているところもあれば、2拠点で役割分担しながら取り組んでいる会社もあった」
「WalkMeシールドの構築は業務フローをきちんと理解していないと難しい。大変な思いをしてWalkMeシールドを構築しなくても同等のことができてしまうような最新機能が、WalkMeから提供されることを期待したい」
「要求に応じて闇雲に追加開発を行うのではなく、優先順位を付け厳選されている会社もあり、バランスが難しいと思った」
2nd session 分析・効果測定
ROI最大化の鍵を握るデータ活用
株式会社コーポレート・デザイン・パートナーズの武田氏は、WalkMeについて語られたある記事を提示し、「”ROIはWalkMeを含むシステム全体による業務改善の観点で見ています。それぞれのシステムが想定するROIを出すためにWalkMeを導入するという発想です”というコメントを読んで、なるほどこういう視点があるんだと勉強になりました。とはいえ、WalkMeを入れてどうなの?効果は出ているの?と常々聞かれるものの、数字集めに翻弄されているのが実態です。みなさんは、ROIをいい感じでマネージメントに報告できていますでしょうか?」と投げかけました。会場にいる参加者の表情を見る限り、効果測定については道半ばの会社が多数のようでした。
コーポレート・デザイン・パートナーズがWalkMeを導入した目的は、問い合わせ件数の削減です。同社では、従業員から月間800件もの問い合わせが寄せられます。2023年10月にWalkMeを導入して以来、この数字に思ったほど顕著な変化が見られていません。しかし、要件単位で細かく問い合わせ発生率を見ていくと、わずかに減少傾向が見られるものもあり、一定のリーチはできていると言えそうです。一方で、およそ1年前には約8割が離脱していたタクシー経費精算の画面では、操作時間が1430時間減少。さらに、900件ほどあった差し戻し件数が300件ほどに減っている事実もあります。「SAP Concur上でダイレクトにリーチできるガイドは気持ちいいほど効果が出ることがわかりました」と武田氏。
このように数値で継続的に変化を捉えていくと、改善への取り組みが効果としてしっかり可視化できるだけでなく、操作時間を減らす、差し戻し率を低下させるなど、ピンポイントでの改善が進んでいきます。
<ディスカッションタイム>
コーポレート・デザイン・パートナーズの事例を受け、各社が効果測定において試行錯誤しながら取り組んでいることについて、各テーブルで自由にディスカッションが行われました。Sessiono1と同様、最後に各テーブルで話題になったこと(以下)が全員にシェアされました。
「システムと同時にWalkMeを導入したケースでは効果を測りにくい」
「WalkMeサーベイを使ってユーザーの声を集めることにトライしている」
「さまざまな施策が相まって効果につながるので切り分けが難しい」
「より効果の高い施策を特定するためにABテストを実施するというアイデアもあるが、シナリオを2つ作ってまで大変なことをやる必要があるか?という疑問もある」
より効果の出るWalkMe活用に向けて、どのような体制で日々の運用をどのように回していくべきなのか。導入から一定期間を経過した今だからこそ、改めて現状を可視化するとともに、WalkMeから取れるデータをいかに活用できるかが、ここから先のROI最大化の鍵を握ることになりそうです。
他社の取り組みに学べるユーザー会は、各社が明日からの取り組みを見直し、新しいアイデアを取り込むことで、WalkMeの可能性を拡げ続けています。