概要

旧来的なホームセンターのフレームを越えて、カスタマーエクスペリエンスDXの推進を加速させている株式会社カインズ。2019年1月にデジタル戦略本部が設立され、同年CAINZ INNOVATION HUBが表参道にデジタル開発の拠点として開設された。2021年4月にはカインズアプリ会員数が200万人を突破し、リフォームサイトがリニューアルされた。8月にはECサイトもリニューアルした状況だ。同社のリフォーム事業におけるSalesforceとWalkMeによる店舗業務DXをデジタル戦略本部 CRM・アナリティクス部の矢口未知彦氏が語った。

1989年の創立時から成長を続け、現在、全国で227店舗を展開している株式会社カインズ。その核となるカインズの経営理念として、「世界を、日常から変える。」というビジョンと「Kindnessでつながる」「創るをつくる」「枠をこえる」という3つのコアバリューが支えている。

またカインズのデジタル戦略はストレスフリー、パーソナライズ、コミュニティ、エモーショナルを目的としているという。

リフォーム事業の刷新でセールスフォースを導入

「4月にリフォーム事業のサイトリニューアルを行ったときに、バックエンドのリフォーム事業システムも刷新しました。リフォーム事業の課題は、店舗ごとの見積件数・成約率のばらつきでした。業務が個人スキルに依存しているために店舗によってはばらつきが出ていました。」と矢口氏は指摘する。

対策として本部に「見積受注センター」を立ち上げ、それに伴い、業務システムをSalesforceの導入により刷新した。以前のリフォーム業務は、店舗でお客様から依頼を受け付けて、現地調査で見積りを作成し、提示して、契約。施工後に請求するという一連の業務プロセスをすべて店舗で行っていたという。

「これを見積受注センターで、現地調査の日程調整や見積作成、また発注業務やリフォーム工事の施工管理などを集約するように業務フローを変更しました。それに伴って店舗では接客に時間を使えるようになります」と業務プロセスの集約を矢口氏は語る。

しかし新しいプロセスには課題もあった。店舗と本部の間でプロセスが分業されるため、1つの案件が店舗と見積受注センターの間を行き来するため、プロセスが複雑になったのだ。この状況を解決するため、WalkMeの導入を決めた。

分業体制で案件管理を行うと、担当者間での手戻りが発生するため、入力漏れやミスによるタイムロスの影響が大きくなります。また、Salesforce 特有の事象として、オブジェクトをまたいだ入力があると、途中でユーザーが今どの作業を行う画面を見ているのかがわからなくなるという課題もありました」と導入の契機を矢口氏は語る。

UI/UXとプロセス改善を業務アプリから切り離してWalkMeで実装する

「WalkMeを導入して実感したのはビジネスプロセスが複雑なほど導入の効果は高いということです。単純な処理の場合Salesforceの操作に慣れてしまえば必要なくなってしまう。初期導入では入力画面にWalkMeによるプロセス自動化や入力ガイドなどの機能を実装しましたが、WalkMeにはまだまだ多くの機能があります。今後新しく出てくる要件ごとに、どの機能をどういう方法で実装するか、組織としてナレッジを蓄積する必要があります」。矢口氏は続けて、WalkMeを使いこなすためのステップとして、「機能を知る」「実装してみる」「各機能のメリットデメリットを知る」「ナレッジとして蓄積していく」の4点を挙げた。

カインズにおけるWalkMeの位置づけを矢口氏は次のように語る。
「導入のメリットとしては全国227店舗に対して(トレーニングなしで)迅速に業務展開ができるところとSalesforceのようにプロセスが弱く標準機能がDB更新型のアプリケーションをサポートする役割があると思っています。 Salesforceはデータとビジネスロジックに特化してシステムを素早く構築し、WalkMeでUI/UXとプロセスをじっくり改善していくという使い方をしようと考えています」

今後は、「メンバーへのKINDNESS」としても業務の煩わしさの解消に向けた社内業務全般のデジタル化の推進に注力したいという。「そこにおいてWalkMeが非常に役立つのではないかと考えています」と矢口氏は期待を語った。