概要

大和ハウス工業は住宅・建設・不動産業界のトップメーカー。同社は2021年6月に社員約18,000人を対象に勤怠システムを刷新した。採用したのは、日立ソリューションズが提供する人事ソリューション「リシテア」で、2020年の6月から2021年の3月までの約10ヵ月で導入プロジェクトを完了。この新システムのリリースと同時にデジタルアダプション・プラットフォーム「WalkMe」を適用した。その目的は「新勤怠管理システム利用者の負担・不安軽減」、「労務管理 制度・ルール周知」だったという

新勤怠システム導入による社員の不安や新たな操作への混乱が予想されたことから、WalkMeが必要と考えたと人事部主任の池田氏はいう。

「当初社員の操作の混乱が予想されました。以前は社員が自己申告した時間で労働時間の算出を行っていましたが、新システムでは、PCのログオン・オフによる客観記録をもとに労働時間算出すると言う仕組みに変更しています。またフレックスタイム制度を導入したことで、労働時間に関するルールを知ってもらう必要もありました」(大和ハウス工業 人事部 主任 池田昇平氏)

また情報システム部門として新システムによる社員からの問い合わせを削減するという狙いもあったという。

新システムで利用したWalkMeの主な機能は操作ガイドで確認しながら画面遷移で入力できる「吹き出し表示と自動入力」、アクセスが多い機能を誘導する「常駐ランチャー」、補足説明や注意喚起を表示する「Smart Tips」の3つだ。

86%がガイダンスの効果を評価

WalkMe導入後の効果の調査結果について、実際に導入実装を担当したアビームコンサルティングの坂本孝司氏が説明した。調査によると「ガイダンス機能があってよかった」と回答した従業員は86%、「勤怠システム以外でもガイダンス機能があったら便利」という回答は93%となっている。

またWalkMeのインサイト機能を使った分析によると、「吹き出し表示・自動入力」が起動された回数は40万回、「常駐ランチャー」は13万回、「Smart Tips」による項目説明が表示された回数は460万回となっており、かなり多く使われてことがわかる。また「吹き出し表示などが3ヶ月で半数ぐらいまで減少していることは、社員の習熟度が高まったという仮説を持っています」と池田氏はいう。

また坂倉氏も「勤怠管理は1ヶ月サイクルで運用しているので、2ヶ月目以降で起動回数が減ってきているのはまさに予想していた通りでした。システムの習熟度が上がることによって、軌道全体の起動回数というのは減りましたが、普段あまり使用しないような申請や、新たに入社してくる社員のことを考えると今後も活用度は高まると思います」と語る。

各種へのリンクを貼ることで、制度の周知は徐々に図られてきたが、「まだまだ工夫をしていきたい」と池田氏は語り、「システムを利用するうちに自然に制度の理解が深まる形での実装方法が理想」だという。現在でも、WalkMeは新勤怠システムに一体化しているために、ほとんどの社員は意識せずに使っているという。

大和ハウス工業の両者とも、新勤怠システムのWalkMeの適用はユーザーの負担や不安の軽減や、労務管理の制度・ルールの浸透という当初の目的は達成しつつあると言う。最後に人事部門の意見として池田氏は「社員にとって本来の仕事を追求することが誇り。WalkMeで本来の仕事に集中できる環境が整えられました」と語り、また情報システム部門の視点として坂倉氏は「システム導入時にはわかりやすく、誰もが登録できるものというのが前提。WalkMeによってシステム本来の目的であり効率化と全員が簡単に登録できるという目的の双方を満たすことができました」と語る。

実装を担当した坂本氏も「導入システムに対して利用者の立場からここはこういう画面の方が良いのにと思うことがあります。そういった面でもWalkMeを適用すれば、改善することが出来、痒いところにも手が届くツールだと思います。現場のユーザーにとってもノーコードで簡単に設定ができるので、導入後の維持管理もそれほど難しくないところがメリットです。ぜひ大和ハウスさんの事例を参考に適用を検討してほしいと思います」と語り、セッションを締めくくった。