SalesforceにWalkMeを実装し、一定の手応えを得た同社は、SAP Concur、SAP S/4HANA、ServiceNow など、他システムへの展開を加速。1年余りで10システムへの実装を完了した。ユーザー数にして約8万人に上り、グループ会社を含む国内の従業員がほぼ全員利用している状況だ。これだけのスピード感を実現できた背景には、経営陣と一体となった社内プロモーション活動に加え、CoE機能としてDAP推進チームの立ち上げがある。
「WalkMeの実装対象は、全社員がグローバルで共通に使うシステムです。新しいツールの価値を短期間で広範囲に浸透させ、全社規模で導入を推進していくためには、CoEとして組織横断的なサポート体制が必要不可欠でした。社内で実際に使っている事例を見せることで説得材料になり、初めて導入する不安からも解放されます」と白鳥氏は語る。
WalkMeの社内展開が進むなか、実際に目に見える効果が出ており、なによりFit to Standardを実践できているという事実が、WalkMeの貢献度を物語っている。「WalkMeは特定のSaaS製品に限定されることなく、あらゆるWebシステムのUX向上に等しく貢献できる存在です。WalkMeがWebシステムの1機能のように見え、かつユーザーはWalkMeの存在を意識していないという意味では、インフラと言ってもいいのかもしれません」と古角氏。
導入時に期待した分析機能の満足度も高く、白鳥氏はその効果を次のように語る。
「システムの使い勝手は個人の感覚で判断してしまいがちです。これまでは『使いやすい』『使いにくい』と言われても、いったいそれがどの程度なのか、客観的に評価する方法がありませんでした。誰もがスムーズに使いこなせる状況を目指すためには、使い勝手の可視化、デジタル化が必要です。WalkMeなら利用状況の把握や操作ログの取得が可能です。今もまだ道半ばではありますが、個人間での利用頻度のバラつきや平均的な操作時間を可視化し、使い勝手を定量的に評価できる環境が整いつつあります。」
こうして分析結果をもとに問題点を特定し、誰もが同じように使いこなせる理想的なシステムの実現を目指して、スピーディーに改善サイクルを回している。マニュアルの作成やメンテナンスの負荷を考えれば、そのスピード感や労力は雲泥の差である。しかも、せっかく用意しても利用してもらえないマニュアルと比べて問題の解決効率が格段に向上するだけでなく、マニュアル作成やシステムのカスタマイズから解放される分、コストの削減効果は大きい。
「これらはWalkMeの手厚い支援に助けられている部分も大きい。適切な頻度で会話させてもらっていて、必要に応じて海外メンバーも入ってもらえます。本当に、寄り添って一緒に施策を進めてもらっている感じです。」と古角氏。また白鳥氏は「一言でいうと不満はない。」と評価。