NIPPOIN EXPRESS ホールディングスは、SAP Ariba を導入し、グローバル調達プロセスの標準化を効率的かつ効果的に推進するために WalkMe を採用。「Fit to Standard」の方針が貫かれた導入プロジェクトにおいて、使いながら改善していくアプローチで、国内 59 社への導入を5.5か月という短期間で完了させました。WalkMeの活用により、ユーザートレーニングやヘルプデスクのほか、業務プロセス最適化のための開発にかかる時間とコストを大幅に削減。この成功を基に、海外のグループ会社約60社への展開を進めています。

「Fit to Standard」の方針のもと使いながら改善するアプローチを採用

創業以来、“物流”という社会インフラを通じて、人、企業、地域を結び、社会の発展を支えてきたNXグループ。この変わらぬ使命を果たすため、世界を舞台にすべての力を結集して、物流から新たな価値を創造することに挑戦している。NXグループ創立100 周年の節目となる 2037 年のありたい姿として同社が目指すのは、「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」への成長である。

そのために、ロジスティクスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けるとともに、自らが持続的な成長を果たす企業であり続けようと、さまざまな変革に取り組んでいる。請求書払いに関するプロセスおよびルールの標準化と税務ガバナンス強化に向け、SAP 社の調達・購買管理システム「SAP Ariba」をグローバルで導入することを決めたのも、その一環だ。背景には、経営プラットフォーム構築推進室がリードする、「グループ“経理”基盤をベースにしたグループ“経営”プラットフォーム構築」を通じた、経営高度化とグローバル競争力の向上による長期ビジョン実現を目指す動きがある。

NIPPON EXPRESSホールディングス 経営プラットフォーム構築推進室長 日下昌彦氏 (左)
NIPPON EXPRESSホールディングス 経営プラットフォーム構築推進室 専任部長 山口崇幸氏 (右) 
 

SAP Aribaの導入において、同社はシステムに業務を合わせる「Fit to Standard」のアプローチを重視した。その狙いを日下氏は「可能な限り迅速かつスムーズに運用に乗せること」だとして、こう続ける。
「ユーザーにしてみれば、当たり前に実施してきた業務プロセスをわざわざ変えたくはありません。意見を求めれば、今まで使ってきたシステムと同じものを要求することはわかっています。だからこそ、SAP Ariba を活用してグループ全体で税務ガバナンスを強化し、必要なデータの可視化を着実に進めていくためには、SAP Ariba で定義されたプロセスに対してユーザーの合意を得るのではなく、使いながら納得してもらうのが早道です。まずは立ち上げて、みんなで使ってみる。問題点が上がってきたら、スピード重視で改善サイクルを回していけばよいのです。どこにどんな問題があるかは網羅的に動かしてみたからこそわかることです。本稼働後に、ユーザーの改修要望を取り込みながら徐々に効果を創出していくやり方です。」
そこで、同社が Fit to Standard のアプローチを強力にサポートする仕組みとして着目したのが、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)のWalkMeだった。

ユーザートレーニングなしに導入直後から運用できる仕組みを実現

同社は SAP Ariba の導入プロジェクトがスタートする前のタイミングで WalkMe の採用を決定。
SAP Ariba 上で目には見えないオーバーレイとして機能し、アプリ内の操作ガイダンスやサポートを提供してくれる WalkMe なら、ユーザートレーニングなしで新しいシステムに適応できる可能性が高い。集合教育を実施しなくても、日々 WalkMe の画面にアプローチするなかで自然と定着化が図られるだろうとの期待があった。

「実際に WalkMe ユーザーの生の声を聞く機会があり、WalkMe がグループへの展開コストを下げる鍵になることを確信しました」と日下氏が語るように、Fit to Standard の方針に従って SAP Ariba をグループ全体に速やかに展開していく上で、必要不可欠なツールとの判断だったのだ。また、内製化のための人員確保が厳しいことを踏まえても、開発者や IT 部門の負荷を減らし、ノーコードで必要な改修に対応できる仕組みは魅力的だった。もちろん、WalKMe が DAP のリーディングカンパニーであることへの安心感は大きな後押しになった。

手間やコストを大幅に削減しながら現場主導で業務プロセスを最適化

こうして同社は、WalkMe の力を借りながら、SAP Ariba の導入を 5.5 か月という短期間で完了させることに成功した。

当初の期待どおり、WalkMe の導入により、業務を回しながら操作を直感的に習得できる環境が整い、ユーザートレーニングやヘルプデスクにかかる手間やコストが大きく軽減。また、システムそのものに手を加えることなく、不要な項目にマスクをかけて表示されないようにしたり、データ入力の自動チェック機能をノーコードで実装したり、業務プロセスを最適化するための改修を簡単かつスピーディーに行えるようになったのも大きな成果である。改修に関してユーザーから過度な要求があっても、WalkMe の分析機能により操作ログを可視化することで、その要・不要や優先順位を適正に判断できる。「OJT ベースで進めて、現場の生の声を適切に取り込んでいくことこそ、小さなDXの一歩」と日下氏は強調する。
SAP Ariba の導入と同時に WalkMe を導入したため、導入前との比較は難しいものの、「ユーザーから WalkMe に対する要望が出てこないのは、それだけ自然に操作できているからだと思います。何の迷いもなく、使ってみたら動いたというのが理想ですから、画面操作に関して違和感がなかったというのは、実はコスト削減や時間短縮に寄与する非常に大きなポイントです」と日下氏は手応えを語る。
「ボタンを押すだけで WalkMe がタスクを自動で実行してくれたり、自動で画面遷移してくれたり、違和感なく複数システム間を行き来できたり、半自動 RPA ですね。手作業で実施していたときの時間を考えると、大幅に工数が削減されていることに WalkMe の価値を見出しています。働き方改革に貢献し、人手不足を解消するツールだと感じています。WalkMe があれば、人の入れ替わりが激しい海外の企業でも、業務に支障が出ない仕組み
を実現できそうです」(日下氏)

国内展開と同様にWalkMeを活用しSAP Aribaを海外約60社へ展開

国内グループ各社への SAP Ariba の導入を経て、同社は 2025 年 1 月より海外グループ会社約 60 社への展開を予定している。ここにも WalkMe を活用することで、効率的でスピード感のある展開が可能になりそうだ。その先には、グローバルでの調達プロセスのさらなる効率化が期待される。また、プロセスマイニングと WalkMe の操作ログとの連携により業務プロセスの改善点を把握し、WalkMe の活用範囲を拡大していく考えだ。ユーザーにとってより使いやすい環境を実現していくために、生成AIの活用にも関心を寄せている。

WalkMe の導入を機に、組織のデジタルフリクションを軽減し、スムーズな運用と効果的なチェンジマネジメントを実現することで、デジタル投資から真の価値を引き出した NIPPON EXPRESS。グローバル市場での存在感を強めるべく競争力を強化するための取り組みに、WalkMe の果たす役割は大きい。

NIPPON EXPRESSホールディングスについて

日本通運をはじめとする NX グルー プ(旧・日本通運グループ)を統括 する持ち株会社として、2022 年に 設立。“物流”という社会インフラ を通じて人々の生活を支えるととも に、時代に求められる物流・社会課 題をプロアクティブに読み解き、“サ ステナブル”な社会の実現に貢献し ている。NXグループ創立 100 周年 の節目となる 2037 年のありたい姿 として「グローバル市場で存在感を 持つロジスティクスカンパニー」を 掲げる。

設 立 : 2022 年
資本金 : 701 億円
代表者 : 代表取締役社長 社長執行役員 堀切智
本 社 : 東京都千代田区 神田和泉町 2 番地
従業員数 : 76,389 人 (2024 年 12 月末)
連結売上収益 : 2,577,643 百万円 (2024 年 12 月現在)

https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/