「グローバル・メドテックカンパニー」として医療事業におけるトッププレイヤーを目指すオリンパス。中期経営計画の中の業務改善を目的に、SAP Concurを導入し、WalkMeを適用することで、社員の交通費精算のユーザビリティを改善。間接業務効率化と生産性の向上を実現した。

医療分野におけるトッププレイヤーをめざす

オリンパスといえば、1919年に設立され、100年を超える老舗企業。内視鏡を始めとする医療機器、医療事業が全体の売上高の8割を占め、全世界で3万人を超えるグローバル企業だ。「医療事業におけるトッププレイヤーを目指す」」という同社の中期経営計画の中で、重点項目の1つが企業効率の追求だった。そのためにも「間接業務の効率化」は重要施策であり、経費精算は大きなテーマとして位置づけられていた。

 

こうした背景から、出張や交通費精算のプロセスの一元化と効率化、コスト削減を目指し、経費精算ソリューションのSAP Concurを導入した。導入フェーズは2019年の1月に完了、2021年からの電帳法導入やペーパーレス推進、モバイル導入、コーポレートカード運用改善のための開発フェーズを経て、2022年以降は国内・海外のグループ企業への展開のフェーズとなっている。

SAP Concurの導入はオリンパスの本社社員7000名に対して行われた。

課題として浮上したのは、「差し戻しや問い合わせ、エスカレーションの低減」だった。ユーザーへの運用浸透、マニュアル簡素化が必要だった。

もうひとつ大きな変化としては、それまで社員の通勤費が定期券代として支給されていたものが、在宅勤務が拡大したことで、実費精算に切り替わったことだ。

「それまで出張や移動の機会がなかった社員も精算を行う必要が生じ、経理財務部門や承認者の負荷も大きくなります。こうした課題の解決にWalkMeはうってつけでした」と財務部門の田中隼人氏は言う。

WalkMe適用で交通費精算業務を劇的に改善

プロジェクトの推進体制は、財務部門の部門長がプロジェクトオーナーとなり財務、人事経理のメンバーを加え10名ほどで進められた。2021年1月から導入を開始し、要件定義、コンテンツ開発、さらにコンテンツのレビューテストやEラーニングによる社内教育周知期間を経て、3ヵ月という短いスパンで本番稼働。コンテンツ開発は、プロジェクトメンバーとWalkMeの共同で行った。

WalkMe適用後のSAP Concurの画面では、以下の3つの機能が実装された。

通勤費・国内旅費ガイダンス:TOPページからレポート提出完了まで一気通貫に入力をガイド

IC精算:交通系ICカードと連携したConcurの申請をスムーズに進められる入力ガイドを実装

マニュアル等関連資料・プロファイル設定など:各種のDBに散在していた各種のマニュアル・関連資料類をWalkMe上に集約。ユーザ―ごとの段階的なプロファイル設定によるガイダンスを表示させ、数回のクリックで目的の情報にたどり着けるようにした。

ユーザー満足度は21%向上、教育・作業コストも3,600万円分の削減

WalkMe導入後では大きなコスト削減効果も見られた。「全従業員への教育・作業コスト」で3,600万円分、「入力データ精度の向上/誤精算の防止」で年間2,300万円分、「SAP Concur操作時間削減」で年間7,000万円分の削減につながったという。

「ユーザーへの教育作業の負担が大幅に減ったことに合わせて、入力の間違いや、操作時間も大幅に削減できたことが大きい」と田中氏。

社員からの評価については上々で、Concurの満足度は、導入前の2.4ポイントから、導入後の2.9ポイントへ上昇した(導入前比 21%向上)。「以前は社員からはConcurは使いにくいという声が多かったのですが、導入後はユーザー満足度は明らかに向上しました」と田中氏は言う。

社員からの評価のコメントは、「入力画面の移行スピードが速くなった」「ガイドのおかげで気軽にできるようになった」などのポジティブな評価が多数得られた。一方、「選択項目が多くて分かりにくい」などのネガティブなものもあった。これらは「作る側が良かれと思い、 同じような案内を何度も繰り返すことがユーザーのストレスを招いたことが原因」と田中氏は振り返る。機能拡張・導入範囲には「優先度の見極めが必要」だという学びにつながったという。

SAP Concur/WalkMeの導入による通勤費精算のスムーズな導入・運用開始によって、今後のSaaS関連施策における導入・運用負担を低減できる土台を構築したオリンパス。今後は海外出張や、電子帳簿保存法適用・コーポレートカード導入にもWalkMe活用を拡大し、さらなる成長に貢献していくという。