1879年に日本国初の損害保険会社として誕生し、業界のリーディングカンパニーとして社会が直面するあらゆるリスクに挑み、社会の発展を支えてきた東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動と略)。1996年には生命保険事業分野にも進出し、損害保険と生命保険の両面から保険事業を推進している。
「お客様に“あんしん”をお届けし、選ばれ、成長し続ける会社」を長期ビジョンとして掲げ、2021年度からは、「成長への変革(“X”)と挑戦2023 ~『品質と想いで最も選ばれる会社』を目指して~」と題した中期経営計画をスタート。先の見えない環境下においても、「お客様や地域社会の“いざ”をお支えし、お守りする」という使命の実現に向けて変革(“X”=トランスフォーメーション)に挑戦すると同時に、お客様の“いざ”というときのために新たなテクノロジーを活用して「保険の力を高め」、保険によるあんしんを「日本の隅々まで、更には世界中に広げる」ことに積極的に取り組んでいる。
こうしたお客様本位の業務運営に加え、カスタマーエクスペリエンス(CX)向上の取り組みを推進していくために、2020年4月には「CX・プロセスデザイン部」が新設された。実際のお客様の声に耳を傾けながら、業務プロセス全体のデザインおよび変革を通じてお客様にとっての「心地よい体験」を実現し、東京海上日動のファンを醸成していくことを目指す部門だ。2008年より全国約5万店の代理店向けに提供してきたCRMシステムの刷新を決めた背景にも、保険業界を取り巻く事業環境の変化のスピードが増し、ますます不確実性が高まる中で、従来どおりのお客様対応では顧客満足度の向上が難しいとの課題意識があった。東京海上日動火災保険株式会社 CX・プロセスデザイン部 新プロセス開発グループ マネージャー 和田 幸音氏はこう振り返る。
「もともと代理店の皆様の要望を踏まえて自社開発したシステムの評判は悪くありませんでした。ただ、多様な接点を通じてお客様の声や代理店の皆様の意見を蓄積する仕組みは出来ていたものの、それを組織として可視化し、オムニチャネルでお客様により良い価値をお届けするために活用していくには物足りなさを感じていました。デジタル化の急速な進展によりお客様の購入に至るプロセスも変化していることから、お客様の期待を超える価値を提供しないといけないという危機感を感じていました。」
そこで新たな代理店向けプラットフォームとして採用されたのが、米Salesforceの金融機関向け顧客情報管理サービス「Financial Services Cloud」だ。これにより組織全体で顧客情報の集約を図ると共に、代理店とお客様とのデジタル接点を強化し、お客様にさらなる安心をお届けできることを目指したのである。